全世界シリーズ累計部数8000万部を超える荒川弘さんの代表作「鋼の錬金術師」が満を持して舞台化され、2023年3月8日(水)から上演されます。「ハガレン」の愛称で親しまれる本作は、錬金術を用いたバトルアクション、歴史や国家をまたにかけた壮大かつ緻密なストーリー、生き生きと描かれる個性豊かで魅力的な登場人物たちの姿が人気を博し、これまでテレビアニメやアニメ映画、ゲーム、実写映画と数々のメディアミックスを繰り広げてきました。今回の初舞台化では、エドワード役は一色洋平さんと廣野凌大さん(Wキャスト)、アルフォンス役は眞嶋秀斗さんが演じます。今回は、お稽古に励む一色さんと廣野さんに公演への意気込みや見どころ、さらにはNorieM恒例のファッションについても語っていただきました!!
―オーディションを経て出演が決まった時は、どんなお気持ちでしたか?
一色さん「いくつかのグループに分かれてオーディションを受けていたのですが、同じグループだったエドワード候補の方たちが、皆さん素敵な俳優ばかりだったので、誰が受かってもおかしくないし、それぞれに素晴らしいところがあって勝てないなと思う瞬間も何回もありました。その中で、自分が選ばれたと聞いた時は、信じられない思いでしたし、プレッシャーも大きかったです。ですが、信頼している(脚本・演出の)石丸さち子さんやプロデューサーチームが合格を出してくれたのだから、それを信じて、自信に変えていかなければいけないと思うようになりました。今、思い返すと、段階を経て喜びが広がっていった気がします」
―オーディションでは、手応えは感じていたのですか?
廣野さん「僕は、石丸さんにフリースタイルで思いをぶつけてしまったので(笑)。“受からせてよ。何回やんねん”って(笑)。その負けん気を買っていただいたんですが、それを言ってしまった日は、やってしまったな…とは思っていました」
一色さん「僕と凌ちゃん(廣野さん)は別のグループでしたが、あるシーンを演じた時に、(石丸)さち子さんから“面白かった”と一言だけ言われたことがあったんです。それを聞いて、ダメだったのかなと思いました。その言葉を“もっと上があるのではないか?”という意味だったのかなと少しネガティブな意味にとらえてしまったんですよ。結果としてオーディションに合格させていただけたので、さち子さんは本当に面白いと思ってくれたんだと、今は思えます」
廣野さん「僕は、面白いなんて言ってもらえなかったですよ。“もっとエネルギーをちょうだい”と言われました(笑)。ただ、自分を思い切りぶつけられて、それを受け止めて120パーセントで返してくれる方は、これまであまり出会ったことがなかったので、その石丸さんのパワーは本当にすごいと感じながら今、稽古をしています。そうして真っ直ぐにぶつかってくれるので信頼もしていますし、今回のオーディションでの出会いは必然だったのかなと」
―原作と初めて出会った時のことを教えてください。いつ頃で、どんな感想を抱きましたか?
廣野さん「僕は『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(2009年から2010年に放送のアニメ)です。小学生だったので、エドがカッコいいなという簡単な感想を持っただけでしたが、改めてオーディションに向けて原作を読み返したら、全く印象が変わりました。少年誌っぽく仕上げているけれど、題材は重くて、差別や戦争も描いている。兄弟たちは禁忌を犯してしまうけれども、それでも乗り越えて進んでいくという物語なので、これを少年誌で連載していたんだと驚きました」
一色さん「僕は、小学校高学年から中1にかけて、親友に漫画を貸してもらったのがきっかけでした。凌ちゃんと同じように、当時はキャラクターや技のカッコ良さにばかり目がいってましたが、大人になって読んだ時に、スカーの恨みはこれほど根深かったのかということに気づきました。民族が持ち続けている根深い恨みや怒りがそこにはあって、改めて読むとそれは当然の事と感じました。。それは子どもの頃には抱けない感情だったので、そうしたところもきちんと理解して演じたいと思っています」
一色洋平さん
―今回は、ダブルキャストでエドワードを演じますが、お互いの芝居について意識していることはありますか?
廣野さん「バチバチのライバル意識というのはないですね」
一色さん「僕も、違いをつけたいとかはないです。そこまでの余裕がないのかもしれませんが(笑)。自分のエドを作るので精一杯なんですよ。なので、例えば、凌ちゃんがさち子さんから演出をつけてもらっている時は、全て自分のこととして聞いていて、自分の演技にも反映しようと思っていますし、逆にお互いに良いと思ったところはすぐに真似する。僕はダブルキャストは今回が初めてですが、その相手が凌ちゃんで良かったなと思っています。とても贅沢な時間を過ごせています」
廣野さん「僕もダブルキャストで良かったなと思いますよ。どちらかが倒れてもやり切ってやるという思いがあります」
廣野凌大さん
―お互いに、どんなところがすごいと思いますか?
一色さん「色々とありますが、本当に少年に見えるというのはすごいことだと思います。俳優は何歳になっても、与えられた役を体現しなければいけないものだと思いますが、今回、凌ちゃんのエドを見ていて、子どもに見えるということはこんなにもすごいことなんだと感じ、憧れます」
廣野さん「洋平さんの演劇に対する熱さや想いがエドに出ているなと僕は感じました。それは僕が真似したいと思ってもできないことなので。“怒りの廣野、愛の一色”と言われていますが、的を射ているなと思います。エドの陽のオーラを洋平さんの演じるエドはまとっているんです。それは洋平さんが愛に溢れる人間だからできることだと思います。もちろん、役者としての技術もピカイチ。舞台上に立っている時はシャープに尖っていて、それが観ている人に突き刺さるんです。毎回、勉強させてもらっています」
―カンパニーの雰囲気はいかがですか?
廣野さん「みんなが同じように苦しんで、同じように楽しんでいるカンパニーだと思います。当たり前ですが誰も腐ることなく、今日まで一つの目標に向かって真っ直ぐに突き進んでいる。僕もそれに真っ直ぐな心でついていけていると思います。このご時世でご飯に行ったり飲みに行ったりはできませんが、それでもだんだんと信頼が高まっていて、良いカンパニーです。それを作っているのは、やっぱり石丸さんを始めとしたスタッフさんたちのバックアップがあるから。だから、僕たちは安心して演技できています」
一色さん「僕は、強豪校の部活みたいだなって思うことがよくあります。それぞれが強い選手、レベルが高い選手だから、そうした選手たちが集まった時にできる雰囲気は唯一無二。個々がすごいだけではダメなんですよ。僕は陸上オタクだったので、部活をしていた時から強豪校の人たちが持っている空気がすごく好きだったんですが、このカンパニーにはそれと同じ空気を感じます。困難があっても必ず前を向けるチームなんです」
廣野さん「“令和の折れ方”をする人が一人もいないよね。みんな強いんで」
一色さん「それは世界初演の“舞台『ハガレン』”を立ち上げるという意味でも必要不可欠な要素だったのかなと思います」
―さらに期待が高まります!!ここだけは観て欲しいという注目ポイントをあげるとすれば、どこですか?
廣野さん「今回描かれているものは全て、エルリック兄弟たちが成長するための糧になっているんですよ。無駄な時間はひとつもないというメッセージが込められていると思います。エルリック兄弟の旅は、まだ始まったばかりです。今回の作品は、彼らの旅の一番大事な最初の段階なので、“旅の始まり”を意識して観ていただけたらと思います。僕たち役者とハガレンの世界観がリンクして、僕たちにとっても旅の始まりだと感じていただけたら嬉しいです」
一色さん「確かに、凌ちゃんが言うように、この作品は役者である僕たち自身と、エドとアルの旅がリンクするところがあると思います。僕たちにとっても大きな成長の旅になると思いますし、(本作は)人生の中でかけがえのない作品で、時間で、出会いになっていると思うので、それを喜びながらも、世界初演をなんとか二人で先陣切って立ち上げていきたいと思っています」
▶︎一色洋平さん&廣野凌大さんのファッション事情◀︎
―今日のお衣裳のポイントは?
廣野さん「フライトジャケットを着たいと思って、スタイリストさんにお願いしてこのコーディネートになりました。フライトジャケットって、旅っぽいイメージがありませんか?色合い的にもそうですし、アメリカンでレトロな感じがハガレンを連想させるので、今回、この衣裳にしました」
一色さん「僕は、ポール・スミスのシャツとネクタイ、ベストでコーディネートしてます。ポール・スミスが大好きなんですよ。品があるけど、物によっては高すぎもしないので、自分へのご褒美としても買えます。今日の服は、全部私物ですが、取材時にこうして着ることも多いですね。今回のシャツは、袖をまくると花柄というのがポイントです」
―普段はどんなファッションが多いですか?
一色さん「今は稽古期間中だから、ジャージばっかりです(笑)。暖かければいいみたいな…(笑)。凌ちゃんは、遊びに行く時はどんな服を着てるの?」
廣野さん「最近、ヴェルサーチにハマっています。ただ、全身ヴェルサーチというよりは、ジャケットとか1点だけヴェルサーチにして、それに合わせてコーディネートするという感じです。あとは、セットアップもよく着ています。ありがたいことに最近は、仕事の関係で買い物にもあまり行けなくなったので、スタイリストさんに用意してもらった衣裳を買い取ることも多くなりました」
一色さん「僕は私服はスポーツカジュアルな服が多いかな。アディダスは出かける時に着てもオシャレなアイテムが多いので活用してますし、トミーヒルフィガーも着やすくて好きですし、和柄でパキッとキメるのも好きです。先ほど話したポール・スミスでもトレーナーやパーカーとか、カジュアルに着られるラインも出しているので、出かける時にそうしたアイテムをカジュアルに着ることもあります」
―最近買ったお気に入りのアイテムは?
廣野さん「パームエンジェルスのサテンのシャツを買いました。レディースなんですが、胸元にバラがデザインされていて、レディースっぽく見えないデザインなんです。サテンの素材感もいいなと思って」
一色さん「僕はスカジャンを買いました。葛飾北斎の『神奈川沖波裏』という有名な波の絵が背中に刺繍されてるんです。和柄が好きなんで、ずっと欲しかったんですよ。まだ寒いので、この公演が始まる頃に着られたらいいなと思っています」
―今は、お稽古の毎日だと思いますが、その中で、お二人の一番の“癒し”は?
一色さん「最近は野菜を買ってきて、それを味噌汁にするのが好きです。大量の白菜とキノコ、ジャガイモ、人参…って、とにかくたくさん入れる。それをクタクタに煮込んで飲むのがすごく美味しいです」
廣野さん「癒しはギャンブルです。全部忘れて、とにかく無心になれるんですよ(笑)。なので、セリフを覚えるのにもちょうどいい。周りで音がしているから、ブツブツ言っていても誰も気にしないですし。お金のかかるレンタルスペースのような感覚です(笑)」
【profile】
一色洋平/Yohei Issiki
1991年8月6日生まれ。神奈川県出身。
2012年Theater Polyphonic 音楽冒険活劇『ペール・ギュント』 主演(演出:石丸さち子/音楽:伊藤靖浩)日暮里d-倉庫でデビュー。
近年の主な舞台出演作は、『ロミオとロザライン』、ミュージカル『DOG FIGHT』、ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』(2021年)、『新・熱海殺人事件 ラストスプリング』、「飛龍伝2022 ~愛と青春の国会前~」、音楽劇 『クラウディア』Produced by 地球ゴージャス、ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』。
■公式ホームページ https://grandslam.ciao.jp/isshikiyohei/
■公式Twitter https://twitter.com/yohei_isshiki
廣野凌大/Ryota Hirono
1998年4月28日生まれ。千葉県出身。
2016年ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」でデビュー。
主な舞台出演作は、ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン、舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage シリーズ、舞台「タンブリング」、ワールドトリガー the Stage、「ダイヤのA」 The MUSICAL。
2021年からは、アーティスト・プロジェクト『Bimi』をスタートし、音楽活動も積極的に行なっている。
■公式ホームページ https://hironoryota.com/
■公式Twitter https://twitter.com/hironobimistaff
【公演概要】
■タイトル
舞台『鋼の錬金術師』
■日程・会場
大阪公演:2023年3月8日(水)~3月12日(日) 新歌舞伎座
東京公演:2023年3月17日(金)~3月26日(日) 日本青年館ホール
■原作 荒川弘(掲載「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
■脚本・演出 石丸さち子
■出演
エドワード・エルリック役:一色洋平/廣野凌大 ※Wキャスト
アルフォンス・エルリック役:眞嶋秀斗
ウィンリィ・ロックベル役:岡部麟(AKB48)
ロイ・マスタング役:蒼木陣/和田琢磨 ※Wキャスト
リザ・ホークアイ役:佃井皆美
アレックス・ルイ・アームストロング役:吉田メタル
マース・ヒューズ役:岡本悠紀 ジャン・ハボック役:君沢ユウキ
デニー・ブロッシュ役:原嶋元久 マリア・ロス 役:瑞生桜子
ティム・マルコー役:阿部裕 ショウ・タッカー役:大石継太
イズミ・カーティス役:小野妃香里 ラスト役:沙央くらま
エンヴィー役:平松來馬 グラトニー 役:草野大成
傷の男(スカー)役:星智也 ゾルフ・J・キンブリー 役:鈴木勝吾
ピナコ・ロックベル役:久下恵美 グレイシア・ヒューズ役:斉藤瑞季
ニーナ・タッカー役:小川向日葵/尻引結馨 ※Wキャスト
キング・ブラッドレイ役:辰巳琢郎 ほか
※Wキャストは五十音順
■公式ホームページ
https://stage-hagaren.jp/
■公式Twitter
@stage_hagaren
■公式Instagram
@stage_hagaren_official
(2023,03,08)
photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Maki Shimada
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