西川貴教さんと柿澤勇人さんがダブルキャストで主演を務める、ミュージカル『スクールオブロック』が2023年8月17日(木)から開幕します。
売れないロッカーが名門進学校の臨時教師になりすまし、生徒たちにバンドを組ませるコメディ映画を原作とした本作は、2015年にアンドリュー・ロイド=ウェバーのプロデュース・音楽によってブロードウェイでミュージカル化。日本では2020年に初演が決定していましたが、新型コロナウイルスの影響で全公演中止に。そこから3年の時を経て、この夏、待望の上演となります!!
今回は、主人公・デューイの親友、ネッド・シュニーブリー役を梶裕貴さんとダブルキャストで演じる太田基裕さんに、公演への意気込みや“ロック”について語っていただきました!!
―太田さんは、出演が決まる前から本作をご存知でしたか?
中高時代から洋楽のバンドなどが好きでよく聴いていたので、その当時に公開されたこの映画も観ていました。音楽好きにはたまらない映画だったので、それがミュージカル化されると聞いて、2020年公演の時は羨ましく思っていました。その時は、僕はキャスティングされていなかったので。
―では、今回、待望のご出演ですね!! 原作の映画は、どんなところが魅力でしたか?
当時は、ギターを弾いているロックスターに憧れがあったので、そんな自分と重ね合わせて胸が熱くなっていましたし、とにかく感動しました。ただ、今回、出演するにあたって改めて観てみたら、また違う感覚でしたね。
―大人になった太田さんとしてはどんな感想だったのですか?
良くも悪くも、夢というものに対して自分は冷めてしまったのかなと思いました(笑)。それが大人になったということなのかもしれませんが、若い時の熱さは将来が未知だったからこそ感じた思いだったのかもしれないなと。大人になるとどうしても現実が見えてくるじゃないですか。社会の中で生きて、様々な経験をしてしまうと、感じることも変わってくるんだなとは思いましたが、同時に忘れてしまった感情を思い起こさせてくれるような気持ちにもなりました。
―それは、まさに太田さんが演じるネッドと共通するところでもありそうですね。
本当に、今になるとネッドの気持ちはすごく分かります。現実と真っ直ぐな気持ちを忘れたくないという思いの間で揺れ動くネッドの気持ちは、今の自分にはぴったりだと思います。実は、学生時代に観た時は、全く感情移入できなかったんですよ。当時は、デューイを主体で観ていたので、デューイと一緒になって「負けないぞ」という思いで観ていました。観る年代によって共感する人物が違うというのもこの作品の面白さなのかなと思います。
―今回、ネッドを演じる上では、どんなところをポイントにしたいと考えていますか?
彼の中の葛藤には共感しながら、自分の今までの経験とすり合わせて、寄り添いながら作っていけたらいいなと思います。デューイは夢を追いかけているけれども、ネッドは夢を諦めたというその揺らぎやセンシティブな面を大事に演じたいです。とはいえ、この作品はポップなアメリカンコメディとして作られているので、コメディ要素もしっかりと出しながら、喜怒哀楽を存分に表現しつつ、わかりやすく楽しく観ていただけたらと思います。
―ダブルキャストでネッドを演じる梶さんの印象は?
一度だけ共演させていただいたことがあるのですが、波長が合うのか、すごくリラックスして一緒にいられる方です。どこかアットホームでいられる感覚があるので、非常に心強いですし、優しい気持ちでいられます。すごく相性が良いんだと思います。お互いに出せるものを出し合って、一緒に作っていけたらいいなと思っています。
―今作は、子どもたちの熱量も高い作品だと思いますが、お稽古場の雰囲気はいかがですか?
(取材当時は)まだそれほど子どもたちと一緒の稽古はないのですが、子どもたちから勉強させてもらうこともいっぱいあるのだろうなと楽しみです。なかなかこれだけの人数の子どもがいる現場はないですから。いろいろな発見や気づきがあると思うので、期待でいっぱいです。
―主演の西川さんと柿澤さんの印象は?
全く違うタイプのお二人だなと思います。お二人とは今回、初共演なんですよ。なので、どんな球が飛んでくるのかわからないので、それもまた楽しみです。これからの稽古を通してさらに深めていければいいなと思っています。
―今作にちなんで、“ロック”への思いもお聞かせいただければと思うのですが…。太田さんはロックはお好きですよね? もともと、音楽をやりたいという思いがあったのですか?
学生の頃は思っていました。同級生の影響で、B’zを初めて聞いたときに、「なんだ、このかっこいい音楽は」ってビビビッときて。ギターをやろうと誘われたので、親に通販でギターを買ってもらい、そこからズブズブっとはまっていった感じです。洋楽ロックも日本のビジュアル系ロックも好きだし、当時は時間さえあればCDショップに行って視聴してました。
―太田さんにとって“ロック”ってどんなものですか?
この映画でも出てきていたように思いますが、やっぱり当時は「反骨精神」があった気がします。学生時代、学校には軽音楽部も認められてなかったんですよ。だけど、放課後、教室の中でエレキギターを弾いて…その時は、反骨精神が自分のアイデンティティーになっていたのかもしれないですね。大人になって「反骨精神」と言うのは、少し恥ずかしいですが、社会に対してや自分自身に対してなど何かしら反骨精神というものはあって、今もどこかで持っている気持ちなのかもしれません。
―そんなロックな心を思い出す音楽は、今も聴きますか?
聴きますよ。でも、僕が好きな洋楽のバンドは、ハマり出したら、すぐに解散してしまうことが多くて、それは寂しいですが、今でも聴きます。やはり音楽は色褪せないものだと思います。自分の中で永遠に鳴り続けているものですから。当時の自分自身を思い出したり、頑張ろうと思えたり、すごく大事な音楽です。
―ちなみに、そんなロック好きな少年だった太田さんが俳優という道に進むきっかけってなんだったんですか?
まず音楽では食えないってことが分かってしまったんですよ(笑)。自分には才能がないなって。でも、表現するという意味では俳優にも興味があったから挑戦してみようかなという感じでした。すごく強い気持ちを持って「俳優をやりたい!」と突き進んでいたわけでは全くなかったですね。流れでここまできてしまったという感覚です。
―俳優としてやっていくと決意したのはいつ頃だったんですか?
いや、今でも思ってないですよ(笑)。流されるまま生きている気はします。でも、後には引けなくなってきたかな。もちろん、いつも目の前のお仕事は自分なりに必死にやっていますし、そうやって1歩1歩、なんとか歩んでいるのかなとは思います。自信があるかと言われたら…断言はできないですが、求めてくださる人がいるのなら、期待に応えられるように頑張りたいという思いです。常に自分自身との葛藤です(笑)。
―そうなんですね。今からバンドをやろうという思いはないんですか?
やるとしても、趣味ですね。バンドは歳を重ねてもできると思うので、気が合う人がいれば、スタジオに入って演奏するのも楽しいと思います。仕事とは関係なくやれたらいいなと思いますが。
―「スタジオに入りました!」なんて報告があったら、ファンとしては期待が高まってしまいますが。
いやいや、「期待しないで」って言って入ります(笑)。
―(笑)。ありがとうございました!! 改めて、作品の見どころを教えてください。
子どもたちが主役の作品です。彼らの真っ直ぐなエネルギーに感動していただけると思うので楽しみにしていてください。僕は作品の中でいいスパイスになれるように頑張ります。ぜひ、劇場でみんなのエネルギーを浴びてほしいなと思います。
▶︎太田基裕さんのファッション事情◀︎
―今日のお衣裳は、本作のTシャツなんですね。
製作発表でも着たものです。それにブラックのパンツを合わせてます。
―普段はどんなファッションをされているのですか?
とにかくヨウジヤマモトが大好きなので、基本はヨウジしか着ないというくらいです(笑)。なので、体のラインが見えるような服を持ってないんですよ。今日のパンツも急遽、製作発表に合わせて買いました(笑)。楽なラインの服が多いですが、涼しくはないですね(笑)。立体的な服が好きなので、本当にヨウジばっかりです。
―この夏にしたいファッションは何かありますか?
ヨウジが好きだと、どんなに暑くても黒が多くなるので、見ている方は暑いと思います。なので、バッグや小物に差し色を入れて、少しでも見た目の暑さを軽減できたらと思います。自分は暑くてもいいんですが、周りの方が暑苦しく思うのは申し訳ないなという気持ちはあるんです(苦笑)。
―ヨウジは若い時からずっと好きなんですか?
もう6年くらいですね。部屋のクローゼットを見ると、どれがどれだか分からないと思いますよ(笑)。人から見ると、同じだと言われるようなものばっかり買っているので。それぞれ少しずつデザインが違うのですが。
―それ以前からモノトーンがお好きだったんですか?
そんなこともなかったんですが、色がある服を着るとすぐ飽きるっていうことに気づいたんですよ。それから、自分のテンションが追いつかない。自分を見て疲れてしまうんですよね。例えば、赤い服を着ていても、自分の気持ちが赤に合ってないなと思ってしまうんです。黒だと全てがまぎれるというか、鏡を見て落ち着くので、もうそれなら自分が一番落ち着く服が良いなと思うようになりました。それからですかね。あとは、ヨウジはドレープ感が独特なのも気に入っています。生地が多くて、まとっている感じがすごく楽で。取材などで色々な服を着させていただくので、私服は自分が落ち着く服でいいかなと思っています。
―お忙しい日々を過ごしていると思いますが、疲れた時やストレスが溜まっている時の癒しは?
美味しいものを食べることですね。僕は、とにかく甘いものが大好きなんで、コンビニに行っても甘いものばっかり見てます(笑)。食べ過ぎ要注意なんですけどね。今年はジェラートが好きで、ジェラート屋さんを見つけたら買っています。
―夏だとかき氷もありますよね?
かき氷は、ちょっと冷たすぎる。直な感じがするんです。溶けてしまうのも寂しいし、満たされた感が足りないので、かき氷よりはジェラート派ですね。
―では、太田さんが素敵でいるためにしていることは?
僕が教えてほしいです(笑)。素敵さとは何ですか? ただ、年齢を重ねていくと、何事も面倒臭くなるし、何でも諦めてしまう気がするので、諦めずに頑張って継続していけたらとは思っています。
―今後、挑戦したいことは?
今までもさまざまな役を演じさせてもらっていますが、これからも様々な役に出会いたいですし、ご一緒したことがない演出家さんともどんどん出会っていきたいと思います。私生活で新しい出会いはなかなか難しいですが、お仕事ではたくさんの出会いがある職業なので、たくさんの方と出会えたらいいなと思います。
【profile】
太田基裕/Motohiro Ota
1987年1月19日生まれ。東京都出身。
主な出演作はミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ 千子村正役、演劇調異譚「xxxHOLiC」壱原侑子役、ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」ボブ・クルー役、ミュージカル「ダブル・トラブル」、ミュージカル「キングアーサー」ランスロット役など。
▪️公式ホームページ
https://otamotohiro.com/
▪️公式Twitter
https://twitter.com/motohiro0119/
phot:Tsubasa Tsutsui/interview&text:Maki Shimada
【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『スクールオブロック』
■日程・会場
東京公演:2023年8月17日(木)~9月18日(月・祝) 東京建物Brillia HALL
大阪公演:2023年9月23日(土・祝)~10月1日(日) 新歌舞伎座
■音楽 アンドリュー・ロイド=ウェバー
■脚本 ジュリアン・フェロウズ
■歌詞 グレン・スレイター
■翻訳・演出 鴻上尚史
■出演
西川貴教/柿澤勇人 濱田めぐみ 梶裕貴/太田基裕 はいだしょうこ/宮澤佐江 ほか
■公式ホームページ
https://horipro-stage.jp/stage/sor2023/
(2023,08,16)
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