ミュージカル『ラグタイム』の公開ゲネプロと囲み取材が2023年9月8日(金)に、日生劇場で行われ、石丸幹二さん、井上芳雄さん、安蘭けいさん、EXILE NESMITHさんが登壇しました!!
本作は、1998年にトニー賞ミュージカル部門において13部門ノミネート、最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞したミュージカルです。激動の20世紀初頭のニューヨークを舞台に、ユダヤ人・黒人・白人、それぞれのルーツを持つ家族の固い絆や、差別・偏見に満ちた世界を変えて、より良い未来を作っていこうとする姿を、珠玉の音楽に乗せて送ります。
名作として知られる本作ですが、日本での上演は今回が初。ユダヤ人のターテを演じる石丸さんは「この作品は四半世紀前に作られている作品ですが、この作品を日本で上演する、そしてそこに出演することが夢でした。その夢が叶うので非常にうれしくもあり、お客さまがどんな反応をするのか、期待と不安が入り混じった状況で初日を迎えます」と上演への思いを語りました。
黒人のコールハウス・ウォーカー・Jrを演じる井上さんは、「人種の話ですので、日本で僕たちが演じる上ではたくさんのハードルがありました。みんなで自分たちなりの表現を見つけてきました。それがどう伝わるか、どう感じていただけるかは分かりませんが、とにかく僕たちは大きなテーマのこの作品を大事に作ってきました」と思いを寄せます。
人種問題については、「アメリカは僕たちミュージカルをやっている人間にとっては憧れの国でもありますが、その成り立ちを改めて知ったら、たくさんの人の力で成り立っていることが分かりました。ただ、そこには弊害も問題もあって、それが今も続いています。アメリカと日本は関係が深い国です。自分たちに関係ない話だと思いがちですが、決してそんなことはなくて、時代は違えど今の自分たちに深いつながりのある話だと思います」と持論を展開。
さらに井上さんは、今作では、そうした人種を「見た目などの分かりやすい記号で描くのではなくて、思いや生活してきたもの、匂い、動き、文化でその人となりを表現できたらいいなと思ってやっています。なので、今回、僕たちは少し前まで日本の演劇界であったような、見た目で人種を表現するということはしていません」と言い、「演出の藤田(俊太郎)さんをはじめ、どうやって表現するかを考えた結果が出ると思うので、ぜひ見ていただいて、感じていただければ嬉しいなと思います」と話しました。
また、白人のマザー役の安蘭さんは「正直言って、稽古日数が足りないなと思っています。ですが、短い期間でここまで作り上げられたのは、多くの経験をされてきた方々がいるからこそだと思うので、そこは自信を持っています。このカンパニーしかできない『ラグタイム』がここに生まれていると思うので、楽しみにしていただければと思います」とコメント。
黒人のブッカー・T・ワシントン役のNESMITHさんは「この御三方の横に僕が立っているのが信じられなくて、本当にありがたい機会をいただいたと思っています。僕自身もダブルなので、色々なセリフだったりシチュエーションだったり、葛藤だったりが、自分のルーツの先にあるのかなと、重ねながら稽古をしました。自分にとってもこの作品は忘れられない歴史の一つになると思います」と思いを述べました。
演出の藤田さんとともに丁寧に作り上げてきた本作。藤田さんの演出について聞かれると、石丸さんは「藤田さんの素晴らしいところは、“これはこうです”と押し付けてくるのではなく、“こういうふうにしたい、その時あなたはどうしますか?”とキャッチボールを密にしてくれるところ。そうすると、色々とやることが多くなって、時間が足りなくなってしまうのですが、幕が開くまで最後まで粘って詰めるというのも魅力です」と明かしました。
一方、井上さんは「あんなにも褒めてくれる演出家も少ない。蜷川幸雄さんのお弟子さんですが、やり方が真逆(笑)。でも、何か共通するものがあるので、面白いと思いました」と言及しました。すると、安蘭さんが「私も昭和の人間で、叩かれてきたので、褒められたら“本当ですか?”って(思ってしまう)」と苦笑。続けて、「(藤田さんとは)交流しやすい。私からの意見も言いやすいですし、私の意見も聞き入れて演出に反映してくださるので、役者の言葉を聞いてくださる演出家だなと思います。ただ藤田さんの“素晴らしい”という言葉は信じられない」とお茶目に話して、笑わせました。
最後に、NESMITHさんは「今の時代につながるメッセージがたくさん詰められている作品だと思います。心を豊かにしてくれるものをぜひ持って帰っていただけたら」、安蘭さんは「お話も素晴らしいし、音楽も素晴らしい作品です。私たちにしかできない『ラグタイム』がここに誕生しますので、ぜひ明日から楽しみにしていただけたらと思います」、井上さんは「どう受け取っていただけるのか、こんなにドキドキする作品もないなと思ってます。それと同時に、日本の演劇界、ミュージカル界にとっても大事な作品になるんじゃないかなと思っています。このやり方が成立するのであれば、どのミュージカルもどの作品もどの国の人も演じられるという、勇気が湧くようなトライになっていると思うので、ぜひその証人になっていただきたい」と呼びかけました。
そして、石丸さんは「『ラグタイム』の大きなテーマはつながりと愛だと思います。つながりと愛をお客さまに届けたいと思います」と力強く語り、取材を締めくくりました。
【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ラグタイム』
■日程・会場
東京公演:2023年9月9日(土)〜9月30日(土) 日生劇場
大阪公演:2023年10月5日(木)〜10月8日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
愛知公演:2023年10月14日(土)〜10月15日(日) 愛知芸術劇場 大ホール
■脚本 テレンス・マクナリー
■歌詞 リン・アレンズ
■音楽 スティーヴン・フラハティ
■演出 藤田俊太郎
■出演
石丸幹二 井上芳雄 安蘭けい 遥海 川口竜也 東啓介 土井ケイト 綺咲愛里 舘形比呂一 畠中洋
EXILE NESMITH ほか
■公式ホームページ
https://www.tohostage.com/ragtime/
(2023,09,11)
photo(stage)&text:Maki Shimada
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