人気漫画家モンキー・パンチさんの原作「ルパン三世」が新作歌舞伎として12月に新橋演舞場で上演されます。原作である漫画「ルパン三世」は、1967年の誕生以来、漫画、テレビアニメを筆頭に様々なメディアで人気を博し、ゲーム、CM、 舞台、スピンオフ作品など、アニメ・漫画の枠を超えた多彩なジャンルにも進出し、国内のみならず世界中に数多くのファンを持つ、日本を代表するメガヒットコンテンツです。
怪盗のルパン三世が仲間たちと世界中のお宝を狙い活躍をみせるストーリーは幅広い世代の心を掴み、映画化や実写化を通して数々の名作が生み出されてきました。
そんな老若男女から愛され続ける「ルパン三世」が、いよいよ歌舞伎に!!
激しい立廻りはもちろん、本物の水を使用した「本水」と呼ばれる演出や、様式的な動きで暗闇の中での探り合いを表現する「だんまり」といった歌舞伎ならではの表現も登場するなど、古典歌舞伎の魅力をふんだんに盛り込んだ“歌舞伎版”ルパンの世界で、石川五ェ門を演じる尾上松也さんへ本作への意気込みをうかがいました。
ー新作歌舞伎『流白浪燦星』が12月に上演されます。今年は新しい作品へのご出演が多い松也さんでしたが、新作という部分での気持ちの持ち方など普段と違うところはあるのでしょうか?
新作はゼロから作らなければいけないので、自分がメインのお役をさせていただくのであれば、考えていくことも多くなりますが、気持ちとしてはあまり変わらないですよ。古典であろうとも新作であろうとも、気持ちが特別に変わるということはありません。
ー「ルパン三世」という作品自体への思い出や思い入れはありますか?
ルパン三世の大ファンで、全部の作品を拝見して、関連したものをいろいろと集めてきたわけではありませんが、ルパン三世が嫌いかと聞かれたら、ルパン三世は好きです!!と答えると思います。僕だけではなくて誰しもがそう答える作品だと思います。モンキー・パンチさんの原作のルパンは、日本では一番有名なルパンですよね。誰もが見たことのあるルパンが歌舞伎になるということで、期待される方も多いだろうなと認識しています。
ー扮装のお写真が公開されましたが、実際に石川五ェ門の扮装のご自身をご覧になった時の感想を教えてください。
撮影時に初めて衣裳、鬘、化粧をあわせるものですから、うまくいったところ、うまくいかなかったところの両方があって、本番に向けてこうしていこうというところが見えたというところです。
ー松也さんが演じる石川五ェ門という役に持っているイメージは?
チーム・ルパンの中では、寡黙で、クールな印象がアニメの中でもある役です。原作でもずっと着物でいて、有名な盗賊の石川五右衛門という人物が歌舞伎にはいますので、そういう意味では、一番歌舞伎に馴染みやすいキャラクターだと思っています。それがどうなっていくのか今は楽しみです。
ー松也さんご自身の性格と似ているところはありますか?
普段は、ルパンの要素と五ェ門の要素の両方があるかなという感じです。みんながいる時は、鼓舞したり、モチベーションをあげるために率先して話をしますし、ふざけた話もしますが、根本的な部分では、この5人でいうと石川五ェ門だと思います。寡黙というか暗いという感じです(笑)。
ールパンを演じる愛之助さんは松也さんから見てどんな印象の方ですか?
とても優しい先輩でフランクに接してくださいます。そして、色々なことに挑戦されて、ご自身が切り開いてきた歌舞伎の道がたくさんありますし、そういう中でこの作品へ挑戦するという志しを後輩としてとても立派だと思いますし、愛之助さんのような先輩がいるからこそ、自分ももっと色々とやっていかなければと思わせてくださる先輩のひとりです。
ーお稽古もこれからという時期で難しいかもしれませんが、歌舞伎ならではのルパン三世の魅力はどんなところだと考えていますか?
ならではというか、歌舞伎はこれまでもいろいろな作品を歌舞伎化してきていて、どんな作品でも歌舞伎の技法を使って形にすると歌舞伎に見えるという力を持っているというのは大きな魅力だと思います。そこがどういう風にモンキーパンチさんのルパン三世の世界観の中でうまく融合できるかということが一番の醍醐味になると思います。そして、今回の作品の中で刀を使うのは僕だけですので、立廻りをどうやって見せていくのか、あとは銭形さんとの絡みもどうなっていくのか。モンキー・パンチファンとしては楽しみだと思います。
ー最後に読者の皆さんへメッセージと意気込みをお願いします。
ルパン三世を深くご存知ない方でも、音楽や雰囲気は誰もが知っているものだと思っています。そのファンの皆さんの期待値を超えるような作品にしたいと思っていますし、これを機に、次の第二章があったら嬉しいなと思っています。
▶️尾上松也さんのファッション事情◀️
ー今日のご取材の衣裳のお気に入りポイントを教えてください。
普段と変わらず、取材の時は、スーツとかセットアップ、ジャケット系が多いですね。
ー普段のファッションスタイルはどんな感じですか?
ルーズでゆったりしたオーバーサイズの服が多いですね。
ーとても忙しい松也さんですが、お洋服もご自身で買いに行かれているのでしょうか?
そうですね。時間があるときは実際にお店に行って選びますし、ネットで買うこともありますね。
ーつい買ってしまうファッションアイテムはありますか?
最近好きなのは、ベースボールチームジャケット。たくさん買っていろいろ持っていますね。
ー松也さんの素敵さを保つ秘訣を教えてください。
いや保てていないので、何もないんですよ(笑)。でも好きなようにやることじゃないですかね。自分のルーティンを守ることでしょうか。僕はルーティンが無いことがルーティンなんです。 ルーティンを持ってる方、持っていない方、それぞれだと思うのですが、何が良いかっていうのは人それぞれですので、人に惑わされず、自分がベストだと思うことをやっていけばいいということじゃないですかね。ファッションでもなんでも、人がどう思おうと自分が良ければそれで良し!!ということでは無いでしょうか?
【profile】
尾上松也/Matsuya Onoe
1985年1月30日生まれ。東京都出身。
1990年5月「伽羅先代萩」の鶴千代役にて二代目尾上松也を名のり初舞台。
「連獅子」「寿曽我対面」曽我五郎、「熊谷陣屋」藤の方、「仮名手本忠臣蔵」顔世御前役等を演じる。近年は立役として注目され、「鳴神」の鳴神上人、「弁天娘女男白浪」の弁天小僧菊之助などの大役を任されている。2014年6月コクーン歌舞伎 「三人吉三」(共演:中村勘九郎、中村七之助演)ではお坊吉三を演じ、連日立ち見が出るほどの大成功を収めた。また、若手が中心となる新春浅草歌舞伎では最年長のリーダー役を勤め、2015年”仮名手本忠臣蔵五・六段目」早野勘平、2016年「与話情浮名模植」切られ与三郎、「義経千本桜」佐藤忠信(狐忠信)を演じて評価されている。
歌舞伎以外の近年の出演作は、端川幸雄演出の騒音歌舞伎(ロックミュージカル)『ボクの四谷怪談』(2012年)、帝国劇場ミュージカル『エリザベート』(2015年)、三谷幸喜演出『ショウ・マスト・ゴー・オン』(2022年)、ミュージカル『スリル・ミー』(2014年、2023年)など。2017年のNHK大河ドラマ 「鎌倉殿の13人」の後鳥羽上皇役に抜擢されるなど、舞台、映像作品と幅広い活躍が注目されている。
■公式ホームページ
https://onoematsuya.jp/
photo:Hirofumi Miyata/styling:Norimitsu Shina/hair&make-up:Yasunori Okada/interview&text:Akiko Yamashita
Jacket:¥93,500,Shirts:¥39,600,Pants:¥39,600/ウィーウィル(株式会社ウィーウィル)その他:スタイリスト私物
【STORY】
時は安土桃山時代。怪盗・ルパン三世とその仲間の次元大介は“卑弥呼の金印”という国宝級のお宝を狙っています。金印の封印を解くには雄龍丸と雌龍丸という2本の宝剣が必要で、金印と宝剣が揃った暁には世を統べる力を手にできると伝えられています。しかし雌龍丸は大盗賊として名を轟かせる石川五右衛門の手の中。 五右衛門も同じく卑弥呼の金印を狙っていたのでした。ルパンが惚れる峰不二子も何か事情を知る様子。さら に天下をおさめる真柴久吉も金印を探しているようで、ルパンの因縁のライバル・銭形警部もルパンと五右衛門らを追っています。1つのお宝を巡る争いの結末は―
【公演概要】
■タイトル
新作歌舞伎『流白浪燦星』(ルパン三世)
■日程・会場
2023年12月5日(火)〜12月25日(月) 新橋演舞場
■原作 モンキー・パンチ(「ルパン三世」より )
■脚本・演出 戸部和久
■出演
ルパン三世 片岡愛之助
石川五ェ門 尾上松也
次元大介 市川笑三郎
峰不二子 市川笑也
銭形警部 市川中車
傾城糸星/伊都之大王 尾上右近
長須登美衛門 中村鷹之資
牢名主九十三郎 市川寿猿
唐句麗屋銀座衛門 市川猿弥
真柴久吉 坂東彌十郎
■公式ホームページ
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/844
(2023,11,30)
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