柴田理恵さんや佐藤正宏さんらと共にWAHAHA本舗を設立し、女優として活動するかたわら、数々のバラエティ番組で活躍し続けている久本雅美さん。芸能界屈指のオシャレタレントとしても知られています。今回、NorieMでは、2024年6月2日(日)から明治座で開幕する『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』に出演する久本さんにインタビューを実施。公演への意気込みやエンターテインメントへの想い、そしてファッションについてたっぷり語っていただきました!!
―まず今回のご出演が決まったお気持ちからお聞かせいただければと思います。
中村雅俊さんの50周年記念にお声かけていただいて本当に嬉しかったです。青春時代に雅俊さんのドラマを観て、ものすごく感動して、元気をもらっていました。(中村さんが歌う)ヒット曲もたくさんおありですし、本当に素敵な歌声をお持ちの大スターです。そうした方の50周年に参加させていただけるのはとてもありがたいですし、光栄に思っています。
―これまで中村さんとお仕事でご一緒する機会はありましたか?
バラエティではちょこちょこお目にかかっていましたが、こうして舞台でご一緒させていただくのは初めてです。ただ、実は30年くらい前に、お正月のスペシャルドラマでワンシーンだけご一緒したことがあるらしいんですよ。私も覚えていなかったですし、きっと雅俊さんも記憶に残っていないと思います(笑)。それくらいのシーンだったので、今回、しっかりとお芝居で絡めるのが楽しみです。
―実は共演されていたんですね!? では、実際に今回、製作発表や顔合わせなどでお会いして感じた中村さんの魅力を教えてください。
めちゃくちゃ若く見えますよね。スタイルも姿勢もいつまでも変わらない。不思議な人だなと思います。50周年を迎えられるにあたっても全く錆びることなく、“中村雅俊”という輝きを失うことなく、どんなに時代が変わっても唯一無二の存在です。それに、みんなが認める大スターですが、人柄の良さがにじみ出てます。実際にお会いしても、表も裏もないハートフルでフレンドリーな、誠実なお人柄なので、人としても芸能界の先輩としても尊敬すべき方だなと思います。
―確かに何十年もずっと変わらないイメージです。
「何かやっているんですか?」と聞いたら、コロナ前まではジムに行ったりしていたそうですが、コロナになってからはその機会も減ってしまって、何もやってないと言っていました。でも、本当に変わらないですよね。73歳とは思えない若々しさで、魅力が全く失われてない。すごいですよね。
―でも、久本さんも変わらないですよ。
わあ、ありがたい(笑)!! 今日はこれでぐっすり眠れます(笑)。
―今回の公演は、昭和歌謡音楽劇とライブの二部構成となっています。第1部の昭和歌謡音楽劇では久本さんはどのような役柄を演じられるのですか?
雅俊さんが演じるマスターのお店の看板娘です。マスターのことが好きで恋心を抱いていたけれども、マスターが結婚されたことにショックを受けて少し距離を置くんですよ。ですが、震災がありマスターが店を再建することになったときに、やっぱりお役に立ちたいという乙女心と、恩からマスターのもとで働きはじめます。マスターのことが好きだけれども、マスターは亡くなった奥様を思っている。そんな切ない乙女心を抱きながら、看板娘としてお役に立とうとしているという女性です。いじらしくて、可愛らしい、乙女心満載の方ですね。
―先日行われた製作発表では、皆さんが意見を出し合って作品を作っているとお話しされていましたが、アドリブも入るのでしょうか?
稽古中には、どんどん入れて試していきたいと思っています。台本を読んで、それぞれに思うところがあると思うので、自分の演じる役柄をもう少し膨らまそうかなと。ここはもう少し関係性を深く持ちたいなとか、ここではもう少しパワーを出していきたいとか、そうした考えを稽古場でぶつけていく作業をしていこうと思っています。演出の玉野(和紀)さんは役者もやっていらっしゃいますので、そういう意味でも、私たちの気持ちもわかっていただけると思います。どんどん提案してくださいとおっしゃっていただいたので、これからさらに稽古場で戦っていこうと思っています。
―稽古場では皆さんが意見を言い合って、活気ある雰囲気なのですね!!
そうですね。ただ、(取材当時は)まだ始まったばかりなので。これからさらに意見をぶつけ合っていければと思います。
―今回は「昭和歌謡」をふんだんに取り入れた音楽劇ということですが、久本さんは昭和歌謡はお聞きになりますか?
大好きです。思い出もいっぱいあります。今の歌は、クオリティが高すぎて、「これ、どこで息つぎするの?」とか「その音どうやって取るの?」とか、とてもじゃないですがついていけないのですが、昭和歌謡は分かりやすいフレーズです。今回も、思い出がある曲もたくさん出てきます。きっと昭和歌謡を存分に楽しんでいただけると思います。
―エンターテインメントが詰まった本作ですが、久本さんにとってのエンターテイメントとはどんなものですか?
私はお客さまに喜んでもらってなんぼだと思っています。お客さまは時間とお金とエネルギーを使って観に来てくださる。舞台を見に行くって結構エネルギーがいることだと思うんですよ。テレビなら電源をつければいいし、映画も比較的気楽な気持ちで行けますが、舞台は決められた日時に観に行かなければならない。それに、生の舞台は、生きてる人間が目の前で情熱をぶつけてくれるわけですから、受け止める方も感じるものがあります。お客さまがそこで感じたものがまた舞台に戻ってくるという、命と命のキャッチボールをしながら、作品が作り上げられていきます。そうして、「明日頑張ろう」とか「嫌なことを忘れた」とか「よし、こうやって生きていこう」とか、そういう勇気や希望や元気を与えてくれるものがエンタメだと思ってます。それは音楽でも演劇でも映画でもいい。人に力を与えるものがエンタメだと思います。
―ご自身が出演するときも、一番大切にしているのは「力を与えること」なのでしょうか?
そうですね。エネルギーとお金と時間を作って来てくれたお客さまに楽しかったとか、元気になったと言ってもらうためにやっていますので、お客さまが笑ってくれたり、感動している姿を見ると嬉しいですし、私たちもエネルギーをもらうことができます。だからこそ、私たちは責任を持って、誠実に使命を果たしていくことが大事だと思います。私自身、1観客としてお芝居を観るときは、素晴らしい作品を観れば、嬉しくなって帰り道にスキップを踏んで帰ったり、そのまま飲みに行ってテンションがあがってしまってセリフや踊りをまねしてみたりします。ですが、残念な作品を観たらがっくりして「時間を返して」と思ってしまうこともあるので、そうならないように、全力で頑張りたいですね。
―久本さんのことをバラエティでご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、“女優・久本雅美”としての演劇に対しての思いを教えていただけますか?
そもそも私は、「東京ヴォードヴィルショー」という劇団を観て、こんな世界があったのかと感動して、演劇の「え」の字も知らないド素人が大阪から勢いだけで出てきたことが最初でした。このままじゃいけないと仲間と「WAHAHA本舗」という劇団を立ち上げて40年になりますが、自分の原点はどこまでも舞台だと今も改めて感じています。嬉しいことにテレビに出させていただいて、テレビの世界も面白いですし、大好きですし、観ていただくお客さまに喜んでもらいたいという思いは一緒ですが、テレビだけをやっていたら心が疲弊してカラカラになってしまうだろうなと思うんですよ。テレビはある意味、瞬発力が必要で、お客さまに対して喜んでもらうためのやり取りがスリリングで面白いですし、それがうまくいったら本当に嬉しい。舞台は、またテレビとは違い、稽古中に悩んで考えて、これが正解か不正解かということを自分の中で練って練って、そしていろいろな人と一緒になって作り上げていった中で幕が開きます。生で観てくださるお客さまの反応がダイレクトに分かるというその緊張感、そして面白さ、持久力。稽古と上演期間中に培われていくものは、自分の柱なのだと思います。血となり肉であって、この屋台骨がなければ、私は“久本雅美”というお笑いの女優として立っていられないと思います。それに、舞台で悩んで作って喜んでもらったものはバラエティにも活かされるんですよ。もちろんバラエティで学んだことは舞台でも生かされる。この両輪がないと、私は前に進めないなと。両輪があることで、一つのものを作り上げていく醍醐味や喜びをより感じて、前に進んでいることを自分では感じられます。なので、私の原点はやっぱり舞台なのだと思います。
―なるほど。では、長く活躍されている中で、前へ前へと進んでいける原動力は?
「好きだ」ということがまずあるでしょうね。でも、苦しんで「どうしたらもっと面白くなるんだろう。どうしてもっといいアイディアが出ないんだろう。なんでうまくいかないんだろう」と悩むことが多いので、体に悪いことやっているなといつもと思います(笑)。辞めちゃった方が楽になるんじゃないかなと思うときもありますが、お客さまの笑い声や拍手からいただけるエネルギーが私の原動力になっているのだと思います。お芝居の世界には正解がないからこそ、「これで良し」というものはまずない。言い方は変ですが、一か八か、生きるか死ぬか、やるかやられるかという全く保証のないところで、体1つで戦っている。だからこそ、前に進めたときの喜びや、宝を1つ得たことの醍醐味が大きいのだと思います。苦しかったり、悩んでもそれが楽しくて面白いから続けていられます。
―今作では、東日本大震災が1つのテーマとして描かれています。そうした震災を描いた作品を届けることに対してはどのような思いがありますか?
雅俊さんの故郷である宮城県女川町が、震災で大変な被害を受けて、そこから皆さんが復興で頑張って、今、心の傷は別として、町の復興は進んでいる。そういうことに対して、雅俊さんは格別な思いがあると思います。今回の公演は、雅俊さんを形作るものをお見せするというところがベースにあるので、私たちもそこに参加させていただく限りは、少なからず、震災を乗り越えてこられた、あるいはこれからも乗り越えてていかれる方に、何かしらの元気を与えることができたら幸いだなと思います。ただ、テーマとして震災を描いてはいますが、物語としては前を向いて進んでいこうというストーリーにつながっていきますので、重い作品にはならないと思います。
―ありがとうございました!! 改めて公演に向けての意気込みと読者の方にメッセージをお願いします。
中村雅俊さんの50周年記念の音楽劇に出演させていただきます。雅俊さんをはじめ、コロッケさんや(田中)美佐子さん、(小川)菜摘ちゃん、松田悟志さん、林翔太くんと土生瑞穂ちゃん、演出も務める玉野さんと素晴らしい面々が集まっています。それぞれの個性が生かされた、ハートフルな舞台になればと思っていますし、お客さまに喜んでいただけるように全力で稽古に取り組んでまいりますので、ぜひ一緒に素敵な時間を共有できればと思います。劇場という生の空間で、情熱や思いが伝わればいいなと思うので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います。
▶︎久本雅美さんのファッション事情◀︎
―ファッションについてもお聞かせください。今日のお衣裳もとても素敵ですが、お衣裳のポイントは?
スタイリストさんが用意してくださったのですが、鮮やかで派手だけれども、品があるというバランスがうまく取れていると思っています。それから、CHANELのネクタイもポイントですね。プラスαでゴールドのアクセサリーもつけています。年齢を重ねると、派手なものを着るときには品がないといけないと思うので、私はそこは大事にしたいと思っています。
―普段はどんなファッションがお好きなんですか?
シンプルだけど形が面白かったり、デザインにエッジが効いてたりするものが好きですね。ファッションが大好きなので、シンプルだけとちょっと攻めているというスタイルをしたいんですよ。普通だけど、普通じゃない。シンプルだけど、シンプルじゃない。なので、着る服を決めたら妹に見てもらうんです。「攻めてるね」と言われたらOK。それがポイントです。
―「攻めてる」というのは、ファッションを楽しんでいるということですね!!
そうです。「着せられている」のではなく、ただ「着ている」のでもなく、「楽しんで着る」です。ファッションが攻めているということ。
―そうした「シンプルだけど、シンプルじゃない」お洋服は、どのようにチョイスしているのですか?
好きなブランドもあるので、そうしたお店をバーっと見ることもありますし、スタイリストさんが持ってきてくれたものを買い取ることもあります。あとは、組み合わせかな。女の人って不思議なのは、どれだけ洋服を持っていても、季節の変わり目になると必ず「着る服がない」って言いますよね(笑)。今までも散々買ってきたのに、着る服がないっていう(笑)。それくらいみんな流行には敏感だし、あるいは新しいものを着たいとか、新しい自分を発見したいという気持ちがあると思うんですよ。そこが私は面白いと思います。それに、この年齢になると、今まで買ってきた服を見直すこともあるんですよ。これはもう着ないなと思うものは、まとめて後輩にあげたり、リサイクルのお店に持って行ったりするんですが、気になる服というのはどれだけ年齢を重ねてもやっぱり好きなんです。2、3年着ていなかった服でも、「今だ」と思って着るものもある。やっぱり好きな服は変わらないのかなと思います。
―最近買ったお気に入りのファッションアイテムは?
今日かぶってきた帽子はスタイリストさんが持ってきてくれて、めちゃくちゃ可愛くて買い取ったものです。でも、家に似たものがたくさんあるんですよ(笑)。好きなものって、そうなりますよね。
―では、久本さんが素敵でいるために、かっこよくいるためにしていることや秘訣を教えてください。
私が言ったらお前が何言ってんだって言われるかもしれないですが(笑)。年齢的にいったら、健康のことを考えるようになりました。私は元々冷え性なので、常にお白湯を飲むとか、お風呂は首まで浸かるとか、日々の生活から意識するようにしています。健康じゃないと、肌の調子もよくないですから。歩く姿勢も意識していますし、睡眠も大事にしてます。健康でいるということが基本だと思います。それから、人と自分を比べないということも大事。もちろん、「目標」としてポジティブな思いで憧れるのは良いんですが、女性はどうしても「あの人だったら良かったのに」と思いがちなところがあると思います。でも、「どうせ私なんか」と僻んだり、「この歳だし」と考えるのはもったいない。自分らしく輝くためにも、人と自分を比べるのではなくて、「昨日の自分と今日の自分」という考え方の癖をつけていくことが、身も心も元気に美しくなる秘訣かなと私は思います。
―人と自分はもちろん、年齢も気になってしまうんですよね…。
気にしちゃうよね。でも、気にしなくて大丈夫。「もう65だな。やり残したことはなんだろう。それをやらないと!」って前向きになれるならいいんですが、「この歳だからできない」となるのはもったいない。50は50の楽しみがあるし輝きがある。60は60の輝きがあるし、70になっても70なりの魅力や生き様がある。だからこそ、身も心も磨いていくというのが大事だと思います。
【profile】
久本雅美/Masami Hisamoto
1958年7月9日生まれ。大阪府出身。
劇団東京ヴォードビルショーを経て、1984年WAHAHA本舗を設立。今年創立40周年を迎える。
テレビ、ラジオ、映画、舞台と幅広く多くの番組、作品へ出演し活躍。
近年の主な舞台出演作は、『毒薬と老嬢』(2022年)、『垣根の魔女』(2023年)。
公式Instagram https://www.instagram.com/hisamoto_masami_official/
photo:Tsubasa Tsutsui/interview&text:Maki Shimada
【公演概要】
■タイトル
『中村雅俊芸能生活50周年記念公演』
〈第1部〉 どこへ時が流れても~俺たちのジュークボックス~
〈第2部〉 MASATOSHI NAKAMURA LIVE -look back with smile , look ahead with pride.-
■日程・会場
2024年6月2日(日)〜6月18日(火) 明治座
■上演台本・演出・振付 玉野和紀
■脚本 堤泰之
■出演
中村雅俊 コロッケ 久本雅美
林翔太 土生瑞穂/小川菜摘/松田悟志/玉野和紀/田中美佐子(特別出演)
■公演情報公式ホームページ
https://www.meijiza.co.jp/info/2024/2024_06/
(2024,05,24)
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