2024年11月16日(土)から大阪松竹座で開幕する「11月松竹新喜劇公演」。今回は、茂林寺文福と舘直志の合作による『砂糖壺』と『人生双六』の二本立てが上演されます。今回初めて松竹新喜劇にゲスト出演する洋あおいさん、そして劇団員の曽我廼家いろはさんにそれぞれの作品の見どころや意気込み、さらにファッションについてなどを語っていただきました!!

 

―洋さんは「松竹新喜劇」初出演ということですが、改めて出演が決まったお気持ちをお聞かせいただければと思います。
洋さん「10年前に大阪松竹座での『道頓堀喜劇まつり』公演の中で『一姫二太郎三かぼちゃ』という名作に出演させていただきましたが、今回、初めてゲスト出演させていただけることになり、新鮮な気持ちと緊張感でいっぱいです。今回、私が出演させていただく『砂糖壺』は、わかぎゑふ先生が初演とはまた違った設定で書きおろされ、新しくお届けするということで、遠足に行く前の日の子どものようにドキドキワクワクしています」

 

―その緊張やワクワクというのは、やはり松竹新喜劇のメンバーに混じっての出演だからということが大きいのですか?
洋さん「その通りです!私は男役出身なのですが、OSK退団後、女優は20年しかやっていないので、男役の方が長いんです。つい最近、OSKのOG公演をさせていただいたときに、20年前の作品でも男役の感覚に戻れた感じがあり、女優業の方が難しいという思いがあって(笑)。もちろん男役のときも悩んだり、苦労もしたのですが。そうした中、今回は藤山扇治郎さんのお母さん役。私はこれまで女性役の中でもアウトローな役柄が多かったのですが、今回は夫を亡くし、子どもを育てながら、息子と意思疎通していくという初めての体験です。息子役の扇治郎さんとは10年前にも姉弟役で共演させていただきましたが、そのときはあまり役の上で絡む芝居がなかったので、今回はガッツリとお芝居をさせていただけることが楽しみですし、緊張もあります。もちろん、お越しいただいたお客さまに楽しんでいただきたい。リピーターになっていただきたいという気持ちが強くありますので、もう一回観たいと思っていただけるよう全力で挑みます」

 

―今回は今お話に上がった『砂糖壺』と『人生双六』の2作品が上演されます。松竹新喜劇初の試みとして、「松竹新喜劇 演目総選挙」を実施し、その結果、『人生双六』が上演されることが決定したそうですね。
いろはさん「はい、今回、時代劇5本と現代劇5本の10本をピックアップし、一般投票にて演目を決定する『松竹新喜劇 演目総選挙』を実施させていただきました。候補演目として選ばれた10本は、松竹新喜劇の中でも度々上演される人気作品と、最近では上演が珍しい、まだ観ていただいたことがないような作品もお出ししたので、私もお客さまはどういった作品を求めていらっしゃるのだろうとすごく興味がありました。今回、その中で“松竹新喜劇といえば”という王道の『人生双六』が第一位となったのでなるほどと。第二位となったのは『お祭り提灯』でしたが、『人生双六』も『お祭り提灯』も私が松竹新喜劇に入団してからも何度も上演している作品だったので、お客さまに愛されているのだと改めて分かって嬉しかったです。お客さまの生の声が実感として伝わったことを感じました」

 

―『人生双六』という作品は、いろはさんからみてどのようなところに面白さがあると思いますか? また、今回『人生双六』でいろはさんが演じる役柄についても教えてください。
いろはさん「松竹新喜劇ならではの心温まる作品です。“心温まる作品”の中で1番だと言っていい作品だと思います(笑)。生きていれば、辛いことも苦しいこともある中で、人によって助けられて、人の愛を認知することで自分が変わっていって、与えてもらったものを次の人にも与えていく。そんな素敵な作品なので、老若男女、皆さんに観ていただける作品だと思います。私は、浜本啓一の妻の真砂子を演じさせていただきます。後に夫となる浜本が失業に悩んでいたある日、大金が入ったお財布を拾います。そこで、こちらも失業中の主人公の宇田信吉と街で出会いますが、宇田の説得により浜本さんは嘘をつかずに正直にそのお金を届けます。そして、その5年後に、二人は再会を約束して…というお話です。私が演じる真砂子は、以前に演じたときは普通の奥さんという役どころでした。そのときは、真砂子のお母さんが出てきてキーパーソンとなっていたのですが、今回はその役目も真砂子が担います。お二人がきちんと再会できるように、宇田さんを説得できるように頑張りたいと思っております」

 

―では、『砂糖壺』の魅力や演じる上で意識したいことを改めて洋さんからお聞かせください!!
洋さん「この作品は、人間の心のひだや煩悩から覚醒していく人間を純粋に描かれていると改めて台本を読んで感じました。人間誰しも、これをやったらダメだと思っても煩悩に負けてしまうことがある。でも、ひとつのきっかけから励まされ、どんどん成長していくという心温まる物語です。元々は、まだ人生経験の少ない息子の話だったのですが、それを今回はわかぎ先生が手を加えられて、破天荒なお母さんの話に設定を変えてつくってくださっています。そうした役に私を選んでいただいたのは大変に光栄ですし、この役どころが自分の舞台人生にとって大きなターニングポイントになるのではないかと思っています。そういう意味でも、心のひだをどう表現できるのか。その人物になりきって演じることはもちろんですが、これは簡単なようで難しいことなので、どう楽しんで演じていくか、今から役作りに向けて意気込んでいます。もちろん、お客さまに楽しんでいただかなければいけないので、お客さまに喜んでいただけるよう頑張ります」

 

―いろはさんは、『砂糖壺』にも質屋の娘睦子役でご出演されますね。
いろはさん「藤山扇治郎さんが演じる庄太郎の友達で質屋の娘の睦子を演じさせていただきます。台本を読んだとき、まずこれまで演じたような娘役じゃないと感じました(笑)。キレイどころの娘役ではなく、本当にどこにでもいるような、ちょっとおてんばな平凡なお役だと思いますので、今までの私とはまた違う一面を見せられたらと思っています。この『砂糖壺』は、もともとの設定と少し変わっておりますが、内容は同じですし、伝えたいメッセージや感動できるところも変わっていませんので、やはり松竹新喜劇らしい作品になっていると思います。(取材当時は)まだ稽古に入っていませんが、これからどんな破天荒な洋さんを見られるのかもすごく楽しみにしています」

 

―洋さんは松竹新喜劇のどんなところに魅力を感じていますか?
洋さん「登場人物たちを面白おかしく描きながらも人情をメインにしていて、笑いと涙をしっかりとお客さまにお届けてしているというところです。メッセージ性がしっかりあるのに説教臭くなく、観ていて共感できる作品が多くて。主役の方だけでなく、どの登場人物にも『自分に近いな』とか『あの人、親戚に似ているな』と感じるところがあって、それを皆さんが一つのチームになってこちらに届けてくださる。泣いた後に爽やかな笑いをもらえる。そんな作品ばかりです。私は幼い頃、祖母に手を引いて連れていってもらって松竹新喜劇を観劇させていただいた記憶があります。幼かったので、内容は覚えておりませんが、お客さまの笑い声とすすり泣く声、お化粧の匂いとお弁当の美味しさを覚えています。その後もテレビで拝見しておりましたが、大人になってから観に行かせていただいたときも、非常に感動したのを覚えています。チャールズ・チャップリンじゃないですが、いつの時代になっても新しく感じて面白い作品ばかりです。面白さというのは、時代関係なく共感できるというのが大事なんでしょうね。また、面白いだけじゃなくて、一緒に笑って、人生哲学もあって、一緒になって楽しめるお客さまファーストの作品。それが松竹新喜劇の醍醐味で、ハマってしまう要素なのかなと思います」

 

―ありがとうございました!! 最後に改めて公演に向けての意気込みと読者に向けてのメッセージをお願いします。
洋さん「1人でも多くの方にご覧いただけることを目標に全力で頑張ります。お越しいただいたお客さまにもう1回観たいと思っていただけるように、わかぎ先生に食らいつきながら役作りに邁進します。これまでにない、新しいものを観たと評価をいただけるように、私の舞台人生の中でのターニングポイントになるように、全身全霊で“ウルトラファイト”で頑張ります!」

 

いろはさん「今回上演する二作品とも人情を描いた喜劇になっておりますので、松竹新喜劇らしい作品でございます。初めての方にも楽しんでいただけると思いますし、何度も観に来ていただいている方でも『やっぱりこの人情芝居いいな』と感じていただける作品になっていると思いますので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいなと思っております。また、『GO TO 松竹新喜劇キャンペーン』と題したリピーターチケットも今回やっておりますので、何度でもお越しいただけたらと思います。役者のお芝居も変わっていくと思いますので、初日に観て、中日に観て、千穐楽に観てと何回でも来ていただいて、また違う楽しみ方をしていただけるんじゃないかなと思いますので(笑)、よろしくお願いいたします!」

 

▶︎洋あおいさん&曾我廼家いろはさんのファッション事情◀︎

―今日のお衣裳のポイントを教えてください!!
洋さん「今回のお衣裳はこちらの水色のスーツとフリルブラウスでコーディネートしました。ブラウスのフリルがポイントです。パーティー感覚で着られて、夏の終わりから秋にかけてちょうどいいお色かなと思います。靴はカカトが空洞になっているタイプで、舞台でも使ったことがあるお気に入りです。オシャレなものを身につけると心がパッと華やかになりますし、今日は特別な日だという感覚になりますよね。オシャレするというのは、脳の働きにもいいみたいですね」

 

いろはさん「ポイントは(肩口の)リボンでございます。3カ月くらい前に購入し、自分でも『どこに着ていけるんだろう』と思っていたのですが、ちょうどこういう場があり、着ることができてとても嬉しいです(笑)。パンツは(太もも部分が広がり)ツノみたいになっているので、お尻のラインを消してくれるデザインになっていて、とても気に入っております。靴はエナメルのローファーで、これからの季節にもいいデザインです」

 

―では、お二人が素敵でいるために、カッコよくいるためにしていることは?

洋さん「年齢的にも若いときとは違うことが多いですので、体は鍛えています。ダンス教室も主宰しているので、ダンスを教えるだけでなく、血流を改善する筋トレも行っています。これまで病気をたくさんしてきたので、血流がどれだけ大事かを実感しているんです。元気でいるにはどうしたらいいかといったら、免疫を上げる。免疫を上げるにはどうしたらいいかというと、毛細血管の流れをよくするということで筋トレが大切です。筋トレをすることはムキムキになるためではなく、血流をよくする効果があるんですよ。私の稽古場では、“アイソメトリック”という静止する筋トレを行なっています。背筋を鍛えるとお顔のリフトアップにも繋がって、認知症予防にもなりますし、とても効果大です。そしてバランスのよい食事と質の良い睡眠です」

 

いろはさん「私は“止まらないこと”だなと思っています。常に何かに一生懸命頑張ることがきれいでいたり、明るくいられる秘訣かなと思います。何かを頑張っていたい。もちろん舞台もそうですし、舞台がない期間も、今は主婦になりましたので、主婦業を頑張っていたい。そうやって動き続けることによってきれいで元気にいられるのではないかなと。止まってしまったら多分おしまいだと思うので、何かに頑張り続けたいと思っております」

 

【profile】
洋あおい/Aoi Hiro
11月16日生まれ。大阪府出身。
2000年OSKトップスター就任。2002年OSK日本歌劇団退団。
近年の主な出演作は、『垣根の魔女』(2023年)、OSK OG公演「Eternal Glory」(2024年)など。2024年12月には浪花人情紙風船団 第25回さよなら公演『朝焼け 旅立ち ヨヨイのヨイ!』への出演が控えている。

 

曽我廼家いろは/Iroha Soganoya
12月2日生まれ。大阪府出身。
2013年11月松竹新喜劇に入団
2021年11月大阪松竹座公演にて「曽我廼家いろは」名、披露。
劇団期待の正統派若手女優。 ダンスや歌にも優れており、今後は幅広い分野での活躍が期待される。


【公演概要】
■タイトル
11月松竹新喜劇公演
■日程・会場
2024年11月16日(土)~2024年11月24日(日) 大阪松竹座
■演目・スタッフ
『砂糖壺』
茂林寺文福 / 舘直志 合作 わかぎゑふ 演出
『人生双六』
茂林寺文福 / 舘直志 合作 曽我廼家八十吉 演出
■出演
藤山扇治郎、渋谷天笑、曽我廼家一蝶、曽我廼家いろは、曽我廼家桃太郎
川奈美弥生、里美羽衣子、千葉由香、甲斐正法、関口義郎、藤田功次郎、ゆめゆかり
戸田ルナ、泉しずか、山本喜楽、前田絵美、森光冬、千草明日翔、山田俊
河合祥子、能勢優菜、山川大遥、坂口勝紀

 

ゲスト 洋あおい

■公演情報掲載ページ

https://www.shochiku.co.jp/shinkigeki/koen/5427

(2024,11,18)

photo:オフィシャル提供/interview&text:Maki Shimada

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下記のリンクのインスタグラムに洋あおいさん&曽我廼家いろはさんのインタビュー撮影時のアザーカットを公開いたします!!

お見逃しなく!!

https://www.instagram.com/noriem_press/