ブロードウェイから夢のハリウッドにやってきたソングライター兄弟が繰り広げる、極上のミュージカルコメディ、ミュージカル『ダブル・トラブル』。2021年にハリウッドチーム、ブロードウェイチームとして2組のキャストで日本で初上演して以来、連続上演企画として数々のキャストによって演じられてきました。2022年12月23日(金)からは、独特のセンスが光る実力派の上口耕平さんと、ミュージカルを中心に活躍する水田航生さんが「TeamE」として登場します。
出演者はたった2人、演奏はピアノだけというシンプルな構成で、次から次へと現れる登場人物、およそ10人もの人物を演じるこのコメディに挑む想いを上口さんと水田さんに聞きました!!

 

―これまでの公演をご覧になった感想は?
上口さん「自分が出演させていただくことが決まってから観劇したので少し見方は違うかもしれませんが…とにかく“これはなかなかの分量だな”と思っていました。ただ、そうして観ていても、自然と“今日は余計なことは考えずに楽しもう”と思うようになり、心から楽しんで観ることができたので、お客さまを引き込むことができる魅力的な作品だと思います」

水田さん「僕も出演が決まってから観たので、自分が演じることを想定しながら観ましたが、それでもやっぱりワクワクしましたし、全編を通してのめり込みながら楽しめた作品でした」

 

―実際にお稽古が始まり、2人で10役を演じてみていかがですか?
上口さん「役替わりということよりも、この流れをずっとドライブし続けるということが高度だなと感じていますし、今はそこに集中して稽古をしています。キャラクターでステージに登場してしまえば、あとはもう楽しむだけなので、まずはうまく繋げていくことが大事だなと」

水田さん「ずっと舞台上にいますからね(笑)。幕が開いてからカーテンコールまで、アンテナを張り続けて、息つく間もなく続いていくので、精神力をが試される作品だと思います。ただ、お稽古をしていて、だんだんとシーンが繋がっていくと、ドライブ感が出てきて、ステージに上がるだけで流れていくようになるのではないかなとも感じています。そうなったら、その日その日のライブ感が生まれてくると思いますし、面白いことになる予感があるので、まずはその本質となる“繋がり”の部分を作っていければと思います」

 

―本作は演じる俳優さんによって、観客が受ける印象や空気感が大きく変わってくる作品だと思いますが、上口さんと水田さんならではの“色”はすでに出ていると思いますか?
上口さん「ところどころにスタイリッシュさやエレガントさが垣間見えることで僕たちチームの面白さが出るのかなとは思います。日々の稽古の中で、(上口さんが演じる)兄のジミーと(水田さんが演じる)弟のボビーという、芸術を愛している2人の空気感や、アメリカンドリームを掴もうとしている勢いといったものが、どんどん濃くなっているように思うので、そこが僕たちの魅力となって、アーティスト感のあるジミーとボビーになっていくのではないかと思っています」

水田さん「この作品の脚本を書いたボブ・ウォルトンとジム・ウォルトン兄弟は、本当にブロードウェイで活躍していた人物です。彼らのパーソナリティーがあってこそ、この作品が成り立っていると思うのですが、僕たちは日本人ですし、ブロードウェイに立ったこともないので、もう一皮かぶって演じないといけないと思います。ただ、僕たちのチームは、昔から踊りをやってきて、踊りが大好きな2人です。だからこそ滲み出るスタイリッシュ感やエレガント感があって、それが自然と出てくるのではないか、それがプラスアルファとなって説得力が生まれるのではないかと思っていますし、そこが強みでもあると思います。そこはこだわって作っていきたいとところでもあります」

 

―1観客としては、女性キャラクターのレベッカをどう演じるのかはすごく興味があるところです。お2人が唯一、同じ役を演じることにもなりますが、実際に演じてみてどんなことを感じていますか?
上口さん「航生くんのレベッカ、とにかく素敵ですよ。自分はというと…レベッカを演じた後は、自分では何をやったか覚えていないんです(笑)。それくらい入り込む役だと思います。スタッフさんたちからは、僕たちのチームは“新たな空気感のレベッカが生まれている”と言っていただいているので、皆さんの心を掴めるレベッカになっているといいなと思います」

水田さん「僕も自分が演じたレベッカのことは覚えていないんですよ(笑)。ただ、耕平くんのレベッカを見て、ボビーがどんな感情になったかは覚えていて、毎日、家に帰ってから稽古場の映像を見て方向性を考えています。演じているときは、トランス状態に入っているような感覚があるんです(笑)」
上口さん「不思議な快感があるよね(笑)。あれほど自分の言動に翻弄される人がいて、惚れ込んでもらえることってあまりない状況だから。その状況が快感で、(どう演じたかを)忘れてしまうくらい夢中になってしまうんだと思います(笑)」

 

―より楽しみになりました!! では、お互いの俳優としての魅力はどこに感じていますか?
上口さん「航生くんの魅力は、どの作品のどんなキャラクターを演じていても愛おしさがあるところだと思います。どんなに悪いキャラクターでも、どこかにチャーミングさがあって、素敵に見える。それってすごく大事なことだと思います。特にこうしたミュージカルコメディと言われるような作品では、性格的に難があったり、クセの強いキャラクターが多いので、そうした役もどこかかわいらしく、愛すべき人物に見せられるのはすごいことだなと思います。今回、いろいろな航生くんが観られますので、ぜひいろいろな航生くんを観にきてください!!」

水田さん「耕平くんは、どの役を演じても深みがあると感じています。とても多くの引き出しを持っている方なので、演技が一辺倒じゃないんです。それを稽古場で目の前で観させていただき、勉強になっています。どこまで想定して動いているのか。それとも今、生まれてきたものなのか分からないんです。そのくらい、突然台本にないことをやり始めても、筋がきちんと通っていて、その役として出来上がっていて、なおかつ面白くてバランスが良い。毎日、その姿を隣で見ていて刺激を受けています。僕も耕平くんのようになれるよう頑張らないとと思わせてくれる先輩で、兄貴です。一緒にステージに立つことで、僕の中からも生まれてくるものがありますし、引っ張っていただいているのを感じます。今、稽古をしていても目で会話ができている感覚があるんです。打ち合わせをしているわけではないのに、2人が自然と揃ったり、ニュアンスが合っているという奇跡みたいな瞬間があって…それはやっぱり耕平くんに導いていただいているからだと思います」
上口さん「マスクをつけて稽古をしているから、余計に目で会話している感覚があるのかもしれないね。僕たちもこの数年で、マスクをして稽古をすることに慣れてきて、目で感情をキャッチできるように鍛えられてきているのかもしれないと、今、思いました。僕たちは、お互いに受け手なタイプだと思います。そこが似ているところでもあり、だからこそ助け合ってできているのだとも思います」

 

―お稽古場では、2人でどんなことをお話していますか? お2人の間で流行っているものなどはありますか?
上口さん「共通しているなと思ったのは、稽古終わりのクールダウンをかなりしっかりとやるということ。僕も30歳を超えてから、クールダウンが大事だと思ってしっかりとやるようになったんです。最近は同年代の役者さんでそれほどクールダウンに力を入れている人はあまり見なかったのですが、航生くんはしっかりやっていて…。ダンサーの方には多いので、やっぱり根が踊りをやっている人間なんだなと思いました」

水田さん「同じことを言おうと思ってました(笑)。しっかりクールダウンをしてるって。やっぱり、体が資本だという意識がお互いに強いんだと思います」

 

―改めて、本作の見どころを教えてください!!
水田さん「キャラクターが個性的だというのはもちろんなのですが、ストーリーがどう展開していくのかが面白さでもあると思います。ジミーとボビーの兄弟がどうなっていくのか、そこに絡んでくる人物たちがどのように発展して昇華していくのかはぜひ注目してもらいたいです。ブロードウェイやハリウッドの空気感やそこに生きているエンターテインメントに携わる人々を描いた作品なので、群像劇を丁寧に作ろうと僕たちは考えています。この作品を知らない方も、物語で描かれているその時代を知らない方も、エンターテインメントが華やかな時代を感じていただけると思います。まだまだコロナ禍が続いていますが、“エンターテインメントの力はすごい”と思える作品になると思うので、ぜひたくさんの方にご覧いただきたいです。これまでこの作品を観たことがあるという方は、きっとこれまでの『ダブル・トラブル』とは毛色が違うと感じていただける作品になると思うので、多くの方にこの世界にどっぷりハマっていただきたいと思います」

 

上口さん「登場する全てのキャラクターがエンターテインメントや芸術を愛しているんですよ。それが大きな共通点で、僕たちが大切に演じていきたいと思っているところでもあります。きっと観てくださる方たちも、エンターテインメントを愛する心をお持ちだと思うので、その思いを互いに持って一つになれればと思います。その上で、色々なシーンでその日だけのセッションが生まれると思うので、観終わった後に“なんだかすごいものを観た” “もう一回、あの人たちに会いたい”と思っていただけるような作品にしたいと思います。ぜひ、楽しみにしていてください」


▶︎上口耕平さん&水田航生さんのファッション事情◀︎
―普段はどんなファッションがお好きですか?
上口さん「それほど強いこだわりがあるわけではないですが、サイズ感は気にしています。昔はピタッとした服が好きで、そういうものを着ていることが多かったですが、最近は流行ということもあるんでしょうが、ちょっとゆったりめな、動いても楽で、シルエットが大きくて可愛い感じの服が多いです。色味は、黒かカーキーを選びがちです」

水田さん「僕も基本はモノトーンが多いですね。黒か白が多いです。それから、アウターはロング丈が多いです。体型的にもロング丈の方が合うので」

 

―最近、買ったお気に入りのアイテムは?
上口さん「メガネが好きで、よくかけて出かけるのですが、それを外した時にすぐにしまえる首からぶら下げるタイプの革製のケースがお気に入りです」

水田さん「僕は、最近、Dr.Martensのチェルシーブーツを買いました。白のハイカットのもので、アジア限定らしいです。まだおろしていないので、ここぞという時に履こうと思っています」

 

―今作は、年末から開幕し、年をまたいでの公演となります。2023年の目標ややりたいことは?
上口さん「まずはこの作品を2人で駆け抜けて、無事にやり遂げるというのが最初の大きな目標です」

水田さん「今はそれしかないですね。目の前のことを乗り越えていく」

上口さん「今、なかなか公演を全て無事にやり終えることも難しい時代ですので、だからこそこの作品は元気に最後まで駆け抜けられるように頑張りたいと思います」

水田さん「ちゃんとクールダウンをしてね(笑)」

 

【profile】
上口耕平/Kohei Ueguchi
1985年4月6日生まれ。和歌山県出身。
2002年ドラマ「ごくせん」(NTV)で俳優デビュー、ミュージカルを中心に活躍中。高校時代から数々のダンスコンテストに入賞、キレのあるダンスには定評がある。主なミュージカルの出演作は『天使にラブ・ソングを』(2016年、2017年)、『タイタニック』(2015年、2018年)、『BACKBEAT』(2019年)、『ウエスト・サイド・ストーリー Season2』(2020年)、『RENT』(2020年)、『屋根の上のヴァイオリン弾き』(2013年、2021年)、『ドン・ジュアン』(2019年、2021年)、『ヘアスプレー』(2022年)など。
■公式ホームページ https://kohei-ueguchi.com/
■公式Twitter @kohei_ueguchi

 

水田航生/Koki Mizuta
1990年12月20日生まれ。大阪府出身。
2005年「第1回アミューズ王子様オーディション」グランプリ受賞。2007年デビュー。長身を活かしたダイナミックなダンスと繊細な演技で、ミュージカル、ストレートプレイと活躍の場を拡げている。近年の主な舞台出演作は、ミュージカル『怪人と探偵』、ブロードウェイ・ミュージカル『「ウエスト・サイド・ストーリー」Season1』(2019年)、ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版(2020年)、舞台『東京原子核クラブ』(2021年)、ミュージカル『ゴースト』(2021年) 、ミュージカル 『The Last 5 Years』、舞台『冬のライオン』(2022年)、ミュージカル『四月は君の嘘』(2022年)など。
■公式ホームページ https://www.amuse.co.jp/artist/A0253/
■公式Twitter @MizutaKoushiki
■公式Instagram @mizutakouki_official


【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ダブル・トラブル』
■日程・会場
TeamD(浜中文一×室龍太)
2022年12月12日(月)~2023年1月21日(土) 自由劇場
2023年1月26日(木) ~2023年1月29日(日) 新国立劇場 小劇場

TeamE(上口耕平×水田航生)
2022年12月23日(金)~2023年1月22日(日) 自由劇場
■脚本・作詞・作曲 ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン
■翻訳・訳詞 高橋亜子
■演出 ウォーリー木下
■音楽監督 落合崇史/大塚茜
■振付 TETSUHARU
■タップ振付 本間憲一
■企画・製作 シーエイティプロデュース

■公式ホームページ

https://www.musical-wtrouble.jp

(2022,12,23)

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Maki Shimada

#NorieM #NorieMmagazine #ノリエム #ダブル・トラブル #上口耕平 さん #水田航生 さん #interview #インタビュー