梅田芸術劇場と英国メニエール・チョコレート・ファクトリー劇場の共同制作ミュージカル『太平洋序曲』が2023年3月8日(水)から上演されます。今作は、巨匠スティーヴン・ソンドハイムさんが作詞・作曲を手がけた意欲作。西洋クリエイターによって、江戸時代末期から明治時代へと向かう激動の日本が描かれます。今回は、ウエンツ瑛士さんとダブルキャストでジョン万次郎役を演じる立石俊樹さんに本作への意気込みやミュージカルへの想いを聞きました!!
―演出マシュー・ホワイトさん、楽曲はソンドハイムさんと、ミュージカルファンからも注目されている作品です。まずは、ご出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください!!
オーディションだったのですが、受かるとは思っていなかったので、驚いたというのが正直な気持ちでした。
―オーディションでは手応えはあまり感じなかった?
リモートでマシューさんに(芝居や歌を)見ていただいて、その後にお話をさせていただいたのですが、和やかな雰囲気ではありました。ただ、楽曲も難しいですし、幕末から明治にかけての時代に生きた人物を演じたこともなかったので、僕にとっては未知数でした。自分の中でもどうなるんだろうという気持ちが大きかったので、合格したことを聞き、驚きと嬉しさが湧き上がってきました。と、同時に、稽古に必死でついていって、本当に頑張らなければいけないと改めて強く感じました。
―立石さんが演じるジョン万次郎という人物には、どんなイメージを持っていますか?
今回、演じるに当たって改めてたくさんの本を読んだり、調べたりしましたが、彼は、波乱万丈の人生を生きた人物です。この作品では、彼がアメリカから帰国してからの姿が描かれていますが、アメリカに渡る前にも様々な出来事が起きています。父親を早くに亡くしたために、学校に通えずに下働きに出たり、漁師として働いているときには船が難破して漂流し、無人島で143日間も生き延びたり…本当にすごい人生を送っています。その後、アメリカに渡りますが、差別を受けながらも学校を首席で卒業し、死刑宣告を受けても日本へ帰る決意をします。日本に帰国後、実力や能力が認められて、最後には異例の昇進まで果たし、武士という身分も与えられました。そんな逆境の中で生きてきた人が、西洋文化が入り、大きく変化していく日本の激動の時代を先導したんです。彼は計り知れないほどのつらく厳しい経験をしてきたと思いますし、それを乗り越えて成長した力強さを持っていると思います。
―そうした人物を演じるにあたっては、共感できるところなどはありましたか?
共感というよりは、尊敬や憧れに近い感情があります。彼は亡くなった後に評価された人物と言われていて、しかも日本よりもアメリカでの評価が高かった。僕もこうして調べていて、今になって彼のすごさがよくわかったので、日本で生前に評価されなかったということについては、悲しいですね。
―ジョン万次郎について、すでにたくさん勉強されていらっしゃるんですね!! 元々、歴史は好きだったのですか?
大河ドラマだったり、時代劇だったりは、テレビでよく見ていました。戦国時代や侍もそうですが、日本の昔の物語は面白いですし、やっぱり惹かれるところがあります。ただ、自分では演じたことがなかったので、歴史上の人物を演じることができるのはすごく楽しみです。今回は、幕末から明治なので、武士道とは離れた時代の価値観が入ってくるというストーリーですが、その時代についても学んでいきたいと思っています。
―ダブルキャストのウエンツさんとは初共演になりますが、お会いした印象は?
僕が小さい頃からテレビで見ていて、ユニットでリリースされていた歌も存じているので、お会いする前は緊張しましたが、気さくにお話をしてくださり、とてもありがたかったです。等身大のまま接してくださって、素敵な方だと思いました。お稽古も楽しみです。
―ところで現在(取材当時)は、ミュージカル『エリザベート』にルドルフ役で出演中ですが、大役を経て、何か手応えは感じていますか?
正直、手応えというとまだ分かりません。ただ、こうしてグランドミュージカルと呼ばれる作品に出演させていただけることは本当にありがたいことですし、これからも真摯に向き合って、学んでいきたいと思っています。僕は元々、歌が大好きだったので、そこに芝居も入り、歌うだけではない喜びがあるミュージカルが大好きなんです。そうした思いをお客さんと分かち合えたり、カンパニー全員で価値があるものを作れるのはすごく幸せなことですし、やりがいも感じています。まだ自分が出会っていない作品がたくさんありますので、これからももっとたくさんの作品に出演できるよう励んでいきたいと思います。
―立石さんの初舞台は、2017年のミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンでした。それから5年、たくさんの出会いがあったと思いますが、立石さんにとってはどんな5年間でしたか?
5年ではあるのですが、自分の中では10年くらいあったような、それほど濃い時間でした(笑)。中でも、やっぱり僕にとっては、ミュージカル『テニスの王子様』(以下、テニミュ)はすごく大きな作品でした。テニミュのお陰で今の自分があると思いますし、僕にとっての原点です。その原点は大事にしつつ、もっともっとたくさんの作品に出演し、活躍されている方たちと肩を並べて、ゆくゆくは多くの方を引っ張っていけるような人になれたらと思っています。
―立石さんにとって、テニミュはまさにターニングポイントでしたね。
そうですね。そもそも、僕にとっての初ミュージカルで初舞台がテニミュですから。その経験があったからこそ、その後のMANKAI STAGE『A3!』やミュージカル『黒執事』に繋がったと思いますし、(テニミュは)こうして大役を任せてもらえるようになったきっかけだったと思います。いつまでも感謝の思いを持ち続けていたいですし、いつか恩返しできたらと思っています。実は僕は、それまであまりミュージカルを観る機会もなかったんですよ。テニミュをきっかけに様々な作品も観るようになったのですが、なんで今までこんなに素晴らしいものを知らなかったんだろうって衝撃的でした。そういう意味でも、僕にとってはテニミュとの出会いは本当に大きなものでした。
―では、今後、立石さんが目指している理想の俳優像は?
今の延長線上にあるとは思いますが、もっともっと自分を磨いていかなければいけないと思っています。俳優という仕事は、どこまでいっても自分の感性と向き合い、それを信じていくものだと思います。それぞれの人生や生き方が表現に現れるものだと思うので、普段の生活から丁寧に、大切に生きていきたいです。そうした人間らしさと俳優としての技術、両方あってこそだと思うので。
―では、2023年にやりたいことは?
お仕事では、目の前の作品に一生懸命、挑んでいきたいですし、今後もたくさんの作品に出会えたらいいなと思います。プライベートでは、食べることが好きなので、まだ見ぬ美味しい料理を求めていきたいです(笑)。どうしても、お気に入りのお店ばかり行っちゃうんですよ。なかなか新しいお店を開拓できないので、ぜひ美味しいお店を教えてください(笑)。知らないジャンルの料理を食べることで新しい価値観も生まれると思うので、色々なお店に行ってみたいです。
―ありがとうございました!! 最後に、公演を楽しみにされている方にメッセージを。
この作品は、現代を生きる僕たちに強いメッセージを与えてくれる作品だと思います。この作品から何かを感じ取っていただけたら嬉しいですし、そうした作品になるよう稽古をしっかり頑張りたいと思います。楽しみにしていてください!!
▶︎立石俊樹さんのファッション事情◀︎
―今日のお衣裳のお気に入りポイントは?
全体的に華やかに見えるものを選びました。ビッグシルエットで、袖がわざと長いというのが気に入っているポイントです。
―プライベートでは、どんなファッションが好きですか? ファッションでこだわっているところは?
寒い季節は、ハイネックが好きでよく着ています。今(取材当時)は、髪がハイトーンなので、モノトーン系の服が似合うと思って、最近は白か黒の服が多いです。ただ、それほどこだわりがあるわけではないんですよ。気に入れば、撮影で使った服を買い取ることもありますし、いただいた服も着ますし…。機能性があって、シンプルでかっこいいファッションになればいいなとは思っています。
―最近買ったお気に入りアイテムは?
淡い色のアウターです。基本的には、パステルカラーのような色合いの服が好きなんです。そういう色が似合うと言われることも多いので。寒い季節は、全体のトーンが暗くなりがちなので、差し色として淡い色のアウターを着ると飽きずに楽しめるかなと思います。
【profile】
立石俊樹/Toshiki Tateishi
1993年12月19日生まれ。秋田県出身。O型。
2017年のミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンでミュージカルデビュー。現在では、ドラマや舞台と幅広い活動見せている。2021年のミュージカル 「黒執事」~寄宿学校の秘密~では、主演・セバスチャン・ミカエリス役を務める。主な出演舞台作は、MANKAI STAGE 『A3!』(2018年〜)、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2021年)、ミュージカル『エリザベート』(2022年)。
■公式ホームページ https://tateishitoshiki.net/
■立石俊樹さん Twitter https://twitter.com/t___tateishi
■立石俊樹さん Instagram https://www.instagram.com/toshiki_tateishi/
photo:Hirofumi Miyata/styling: MASAYA(addict_case)/hair&make-up: SUGA NAKATA(GLEAM)/interview&text:Maki Shimada
【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『太平洋序曲』PACIFIC OVERTURES
■日程・会場
東京公演:2023年3月8日(水)~3月29日(水) 日生劇場
大阪公演:2023年4月8日(土) ~4月16日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
■作詞・作曲 スティーヴン・ソンドハイム
■脚本 ジョン・ワイドマン
■演出 マシュー・ホワイト
■出演
山本耕史/松下優也(Wキャスト) 海宝直人/廣瀬友祐(Wキャスト) ウエンツ瑛士/立石俊樹(Wキャスト) 朝海ひかる ほか
■企画・制作 梅田芸術劇場
■公式ホームページ
https://www.umegei.com/pacific-overtures/
(2023,01,30)
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