ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』や『こっち向いてよ向井くん』、映画『少女邂逅』『生きててごめんなさい』などに出演、2022年にはアメリカテレビシリーズ「SHOGUN」にも出演を果たした穂志もえかさん。数々の映画、ドラマで活躍する穂志さんが、2023年11月11日(土)から上演される『無駄な抵抗』で舞台に初挑戦します。

 

本作は、独創的な観点から、あらゆる空間や時間を自在に描き出し、日常と地続きにある不思議な世界を立ち上げてきた前川知大さんの新作公演です。古代ギリシャ劇をモチーフに、オイディプス王のように神々と別れ、世界という巨大な力「運命」に抗おうと、自らの意志を信じて生き始めた人たちを描きます。

穂志さんに初舞台への想いや意気込み、さらには恒例のファッション事情など、たっぷり語っていただきました!!

 

―初めての舞台挑戦が決まった時のお気持ちを聞かせてください。

舞台に出演することで、きっとまた違った力が鍛えられるだろうと、以前から舞台に挑戦したいと思っていたので、すごく嬉しかったです。しかも、今回は、これまでも何度も観劇していた、大好きな前川さんの作品だということで、喜びもより大きかったですが、同時に、足を引っ張らないかという心配な気持ちもあります。

 

―以前から舞台はよく観劇されていたんですか?

1年くらい前に、海外でお仕事をしていたのですが、そこで舞台出身の方たちと共演させていただき、私とは違う視点を持っていらっしゃることに気づいてからは、足繁く、小劇場から大きな舞台まで観に行くようになりました。

 

―観劇をする中で、俳優として何か掴むものはありましたか?

もちろん観劇することで、学べるものは多かったと思います。ただ、実際に自分が立たないと得られないものもたくさんあるだろうなとも思っていました。なので、今回、それを学べる機会をいただけたことがとても嬉しいです。

 

―前川さんの作品が大好きということですが、穂志さんが感じている前川作品の魅力は?

映像技術やCGを使わなくても、SFの世界を成立させてしまうという、演劇としての表現力だと思います。セリフや空気感、演出、さまざまなことが相まって世界観が作られているのだと思いますが、なんだか観劇中、ずっと地面から体が浮いているような気持ちになるんですよ。異世界にお出かけさせてくれるような、非日常だけど日常にも繋がっているような不思議な世界観を感じます。それは前川さんの作品でしか出会えないものだと思います。

 

―今回、ご出演が決まってから、前川さんとは何かお話をされましたか?

(取材当時は)まだ作品のことはお話しできていません。ただ、ビジュアル撮影の時に、前川さんが演出に入ってくださって、こういう動きをしてほしいという説明は受けました。その説明をお伺いするのもすごく楽しかったです。

 

―それは、どんな説明だったのですか?

この作品は、「抗えない運命」ということがテーマになっていると撮影前にもお伺いして知っていたのですが、今回、歯車のようなセットの間に共演者がいるというビジュアルだったので、歯車が運命を表していて、自分の意思と反して動いていってしまう、そのビジュアルの意味を教えていただきました。それで、無自覚に押されてしまっているような動きや立ち止まる仕草をしてほしいという演出を受けました。

 

―なるほど。ストーリーや役柄については、何かお話がありましたか? 今作は、ギリシャ悲劇を前川さんがアレンジして新作として上演するということですが。

まだ(現時点では)役柄等も分からないのですが、同じように古代ギリシャの叙事詩を前川さんが新たに作り上げた『終わりのない』から続いているお話だということはお伺いしました。『終わりのない』は私も観劇させていただいたのですが、ギリシャ神話がベースになってはいますが、私たちの現実に落とし込んだストーリーなので、とても観やすかったです。今回はどのような形で作り上げるのか、すごく楽しみです。

 

―これからお稽古がスタートすると思いますが、お稽古に向けてどんな準備をしたいと考えていますか?

当たり前ですが、体力作りと舞台に向けての発声のトレーニングをしたいとは思っています。それから、引き続き舞台を観に行くことも続けたいと思います。

 

―今作の共演者の方々の印象を教えてください。

今回、共演経験があるのは、安井順平さんだけなんですよ。映画でご一緒したのですが、その時も、すごく歩み寄ってくださって、私がリラックスして現場に臨めるような環境を作ってくださいました。私はそれまでも(前川さんが主宰する)劇団イキウメの作品を拝見していたので、(劇団員である)安井さんとご一緒できるのがすごく嬉しかったのを覚えています。そのほかの方々は初めてご一緒させていただいきますが、やはり楽しみな方ばかりです。池谷さんのお芝居も客席からよく観させていただいていましたが、とんでもないお芝居をされている方なので、興奮しすぎて涙が出てしまうほど(笑)、とにかく楽しみですし、緊張もしています。レベルの高い場所に飛び込ませていただくことになるので、どうなるのか想像もつきませんが、前川さんの世界観の中で、皆さまのお芝居から受けるエネルギーを存分にお借りして演じられたらと思います。

 

―本作は、「抗えない運命」がテーマということですが、穂志さんが「運命を感じた瞬間」は?

過去に起こったことは、全て運命と言えてしまうとは思います。例えば、今、こうして俳優として活動をしていることも「運命」だと思います。ただ、これからの未来も運命で決まっていると言われたらちょっと悔しい気持ちにもなりますね。それが今回の舞台で扱うテーマにも通じていると思うので、今は台本を読むのが楽しみです。

 

―では、お芝居をしていて面白いと感じる瞬間は、どんな時ですか?

予想もしていなかった感情が、相手の芝居を受けたことによって自分の中に生まれた時は、すごく楽しいです。それは役として生きることができているということだと思いますし、一人で本読みをしていたら絶対に起こらないことなので。人体の120パーセントを使ってお芝居をしているような感覚があるんですよ。心も頭も体も使っているような感じで、張り詰めたような独特の感覚は面白いです。そして、何よりもお客さんからのリアクションも嬉しいです。

 

―そうした面白さがモチベーションとなっているのでしょうか?

そうですね。もちろん、うまくいくことばかりではないですが、うまくいかない時間や、自分にとって嫌な経験も生かせてしまうのが役者なのかなと思うので、とめどないなと思います。

 

―穂志さんが目指す、理想の俳優像は?

国を超えて仕事をしていきたいです。最近はサブスクなどの配信で、さまざまな国の方に作品を観ていただく機会が増えましたが、言葉や文化を超えて世界中の人と繋がることができるのは素晴らしいことだと思います。普遍的な感情は、世界中で繋がれると思うので、作品を通して共通する思いを持てたらと思います。そう思うのも、やはり、昨年、実際に海外で仕事をした経験があったからだと思います。さまざまな国の方たちとご一緒して、すごく楽しかったですし、世界をもっと見たいと強く思うようになりました。

 

―そうした作品に携わる前から、もともと、世界へという思いがあったのですか?

作品に携わる前は全然ありませんでした(笑)。私は日本が大好きで、邦画が大好き。ハリウッド映画もよく分からないし、海外は怖いと思うタイプだったんです(笑)。ですが、海外でお仕事することになって、自分の新たな扉が開いた感覚がありました。それも一つの運命だったのかもしれません。

 

―改めて、作品への意気込みと読者の方にメッセージをお願いします!!

前川さんの作品は他にはない魅力があると思いますので、ぜひ劇場でその世界を体感していただきたいと思います。今までにない体験ができると思いますので、普段劇場に来ない方も観劇していただけたら嬉しいです。そして、まだまだな私ですが、皆さんに食らい付いて、自分との戦いを続けて稽古に励んでいきたいと思います。頑張ります。


▶︎穂志もえかさんのファッション事情◀︎

―今日のお衣裳のポイントは?
今日は、ビジュアル撮影で着用したこの作品のお衣裳なのですが、前川さんの作品を作る上で、世界観がとても大事だと思っているので、このお衣装はまさにだと感じました。早くも作品の一部になれたような気がして嬉しいです。

 

―普段のプライベートではどのようなお洋服を着ているのですか?

最近は、カラフルでヤンチャなイメージのファッションが多いです。夏ということもありますし、髪を切ったこともあって色々なお洋服を着ています。

 

―具体的には、どんなコーディネートが多いですか?

デニムなどのパンツスタイルもよくしています。ただ、デニムを着るとボーイッシュになりすぎてしまうので、あえてトップスはタンクトップにして肌を見せたり…。いやらしくはならないように気をつけながら、お肌も出しています。

 

―最近買ったお気に入りのファッションアイテムは?

私はピアスの穴が開いていないので、イヤーカフをよくつけているのですが、最近はすごく面白い形のイヤーカフがたくさん売っているんですよ。いかにも穴が開いているように見えるものだったり、すごく存在感があるものがあったり…。イヤーカフは引き続き、色々なものを集めていきたいです。

 

―お仕事が忙しい中でのリラックス法は?

音楽と風呂と猫です。

―どんな音楽を聴くのですか?

意識高いと思われそうで恥ずかしいのですが(笑)、耳を少しでも英語に慣らしたいので、洋楽を聴くようにしています。 邦楽とはまた違うテンポ感が心地よくて、リラックスできるので、家でゆっくりしたいときにもよく聴いています。最近は時間があったこともあり、体調を崩していたこともあり、自炊をするようにしていたので、キッチンで洋楽を流しながら、レシピを見てお料理を作るということもしていました。やっぱり自分で意識して作ったものを食べていたら体調も良くなったので、自炊の大切さも感じました。

 

【profile】
穂志もえか/Moeka Hoshi
1995年8月23日生まれ。千葉県出身。
2016 年「ミス iD2016」グランプリを獲得。主な出演作は、 ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」「グラップラー刃牙は BL ではないかと考え続けた 乙女の記録ッッ」「100 万回 言えばよかった」、「アンサング・シンデレラ」、映画「少女 邂逅」「花束みたいな恋をした」「街の上で」「窓辺にて」「生きててごめんなさい」など。 2022 年にはアメリカテレビシリーズ「SHOGUN」出演のため約 8 か月間カナダで撮影 に臨んだ。今回が初舞台となる。
■公式Instagram
https://www.instagram.com/moekappa823/
■公式Twitter
https://twitter.com/moehamegenai/

photo:Tsubasa Tsutsui/styling:Yasuo Mori/hair&make-up: CHIHIRO/interview&text:Maki Shimada


【公演概要】
■タイトル
『無駄な抵抗』
■日程・会場
東京公演:2023年11月11日(土)~11月26日(日) 世田谷パブリックシアター
兵庫公演:2023年12月9日(土)~12月10日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
■作・演出 前川知大
■出演
池谷のぶえ 渡邊圭佑 安井順平 浜田信也/穂志もえか 清水葉月 盛隆二 森下創 大窪人衛/松雪泰子
■公式ホームページ
https://setagaya-pt.jp/stage/2140/

(2023,08,07)

#NorieM #NorieMmagazine #ノリエム #穂志もえか さん #無駄な抵抗 #世田谷パブリックシアター