『ビロクシー・ブルース』囲み取材・公開ゲネプロが2023年11月3日(金・祝)に、日比谷シアタークリエで行われ、濱田龍臣さん、宮崎秋人さん、松田凌さん、鳥越裕貴さん、新納慎也さんが登壇しました!!

※写真左から鳥越裕貴さん、松田凌さん、濱田龍臣さん、宮崎秋人さん、新納慎也さん

 

本作は、ブロードウェイを代表する喜劇作家ニール・サイモンの自伝的戯曲であり、青春グラフィティの傑作です。1985年にブロードウェイで初演され、トニー賞最優秀作品賞を受賞したほか、数々の賞を受賞し、1988年には映画化もされました。

主人公のユージンを演じる濱田さんは、「ユージンがノートを開いて、過去を振り返るところから物語が始まり、作品全体がユージンの主観で広がっていきます。知的で、可愛らしい部分もあるキャラクターになっています」と自身の役柄を説明。

 

エプスタイン役の宮崎さんは「ワイルドなみんなから外れているような青年で、ユージンの理解者なのかなんなのか、ユージン側から見たらどう見えているのか、よく分わからない男の子だなといまだに思いながら演じています。人のために動いているのか、自分のために動いているのか、それもはっきりしないような青年で、つかみどころがない男の子だと思います」と話しました。

カーニー役の松田さんは「カーニーは、優柔不断な男です。何でそんなことで悩むんだ。どこまで悩むんだという、そういう男の子です。作中でも、恋に悩み、自分の将来に悩みながら、戦時中を生きている男の子として、とてもビビッドに生きています。そのカーニーが、この群像の中で、どう生きていくのか。成長過程も見れると思うので、優柔不断な男の子がこの仲間たちとの出会いによってなにか決断できているのではないかと思う今日この頃です」と役柄と同様、“優柔不断”なコメント。

 

対照的にセルリッジ役の鳥越さんは「セルリッジは、年代にふさわしい素直なアホな子です。クラスに一人いればいいなと僕は思っています」と一言。松田さんから「(鳥越さんは役柄)そのままだね」と突っ込まれると、「いいキャスティングですね」と応じて、場を盛り上げました。

 

トゥーミー軍曹役の新納さんは「いわゆる鬼軍曹です。このコンプライアンスが叫ばれている世の中で、コンプラ無視のことをしていますが、僕としてはそこに礼儀と作法を持ってパワハラをしています。お楽しみに」と挨拶をしました。

 

ニール・サイモンの戯曲は、セリフが多く、会話の応酬で物語が紡がれていくことでも知られています。新納さんは「“ニーロ・サイモン”としては、ニール・サイモンをしばきたくなるくらい、長ゼリフのオンパレード」と苦笑いで明かしながら、「役者のエゴなんですが、長ゼリフが多い役で、観に来た知り合いから『セリフをよく覚えたね』って感想を言われるのが一番恥ずかしいんです。なので、そう言われないように一生懸命稽古をしていたんですが、通し稽古の中で、色々な方々から『そんなにいっぱい喋っているように見えないよ』って言っていただいて、僕としては『こんなに一生懸命覚えたのに?』っていう…。役者としてはそれを狙っていたんですが、でも、一生懸命頑張って覚えたんです。そういうジレンマを抱えています」と本音も吐露しました。

また、会話のテンポについて濱田さんは「会話のテンポ感はすごく探りましたね。読み合わせの時から考えると、(稽古を重ねたことで)会話のテンポが上がったなと感じています。それは言葉が持っているパワーや表現力がすごいあるからこそ、このテンポ感なんだなと感じます。通し稽古を始めてから、ここかというのをところどころで見つけられた気がしました」と語りました。それを聞いた新納さんは、「みんなは若い役ですが、実際はみんな、それほど若くないんですよ。でも、通し稽古を重ねるにつれ、会話のテンポが出てきて、うまいことごまかせていると思います」と太鼓判を押しました。

物語の舞台は、1943年、18歳から20歳までの新兵が乗った列車から始まります。作家志望の青年・ユージンは、訓練所に向かう列車の中で出会った個性的な仲間たちの様子を観察し、将来のために日記をしたためています。彼らは、ビロクシーの新兵訓練所に送られ、鬼軍曹・トゥーミーの厳しい指導を受けることに。本作では、権力との衝突や価値観の対峙を経て、悲惨な訓練生活をたくましくエネルギッシュに乗り越えていく彼らの姿が瑞々しく描かれていきます。

新兵たち6人の個性がくっきりと浮かび上がり、若者たちの群像劇としてとても丁寧に作られている印象の本作。中でも、宮崎さんが演じるエプスタインは、物語のキーマンでもあり、目を引く存在でした。冒頭では、虚弱体質で軍隊式のやり方についていけない弱々しい青年に見えるエプスタインですが、物語が進むつれ、強い意志を持ち、誇りを持って行動する力強さを感じます。深みのあるエプスタインを作り上げる宮崎さんの圧巻の演技が光ります。

また、囲み取材で話題になった通り、新納さんの長ゼリフも見どころの一つ。特に、訓練所に到着した新兵たちに“軍隊とは何か”を教え込むシーンでは、長ゼリフの中でこれでもかというほどのパワハラをしていきます。新兵たちそれぞれがトゥーミーの言葉に反応する姿を見るのも面白いですが、新納さんの鬼軍曹ぶりにも注目です。

 

【公演概要】
■タイトル
『ビロクシー・ブルース』
■日程・会場
2023年11月3日(金・祝)~11月19日(日) 日比谷シアタークリエ
■作 ニール・サイモン
■翻訳 鳴海四郎
■演出 小山ゆうな
■出演
濱田龍臣 宮﨑秋人 松田凌 鳥越裕貴 木戸邑弥 大山真志 岡本夏美 小島聖 新納慎也
■製作 東宝

■公式ホームページ

https://www.tohostage.com/biloxi_blues/

(2023,11,06)

photo&text:Maki Shimada

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