『インヘリタンス−継承−』製作発表会が2023年11月21日(火)に行われ、福士誠治さん、田中俊介さん、新原泰佑さん、柾木玲弥さん、山路和弘さん、麻実れいさんが登壇しました!!

 

本作は、2015年〜2018年のNYを舞台に、1980年代のエイズ流行初期を生きた60代、HIVと共に生きる30代・20代の3世代のゲイの人々を前後篇6時間半で描きます。オリヴィエ賞4部門、トニー賞4部門を受賞するなど、ブロードウェイとウエストエンドで大きな話題となった作品で、今回が日本初演。これまでもシェイクスピアやチェーホフの古典作品を斬新な現代劇として甦らせた気鋭の演出家・熊林弘高さんが、前後篇6時間半の大作に挑みます。

30代の青年エリックを演じる福士さんは、熊林さんの演出作品には3度目の出演。熊林さんの演出について、「稽古場がすごく楽しいイメージがあります。いつも自分が思っている台本の読み方や表現の仕方を超えてくださる演出家」と評しました。そして、ミュージカル『IN TO THE WOODS』での稽古を振り返りながら「約3メートルの高さのところから飛んでと言われました(笑)。歌いながら飛ぶのは初めてでしたが、いとも簡単に言われました。今回もこの6時間半の公演の中で何度驚くだろうと楽しみにしています」と笑顔を見せました。

 

ドビー役の田中さんは、「正直、僕の人生経験ではたどり着けない痛みや苦しみを味わっている役だと思いました。非常に難しい。この作品自体も、相当な覚悟がいる。でも、このコロナ禍で味わった人と人との距離感が分からなくなる感覚や、関わり合い方が難しくなってきた今だからこそ、リンクする部分がたくさんあるなと思ったので、出演を決めました。皆さんと楽しみながら素敵な作品にしていきたいと思います」と意気込みました。

 

レオとアダムという2役を演じる新原さんは、オーディションで本作への出演が決まったと言います。新原さんは「正反対の二人の人間を、そして顔が瓜二つという大きな役をいただけたことを光栄に思っています。物語のキーパーソンとなる人物なので、そうなれるように稽古も頑張っていきたいと思います」とコメント。

 

ジャスパー役の柾木さんは「熊林さんとまたご一緒できることを嬉しく思います。ボリュームのある作品ですが、非常に楽しみにしています」と思いを語ります。そして、「僕はおそらく、舞台の経験が皆さんよりは少ないのかもしれませんし、ここまで長い作品も初めてなので、普通の舞台と違って何を頑張ればいいのかもわかっていないですが、一番大事にしたいのは体調管理です。長いですし、まずそこからだと思っているので、健康に頑張りたいと思います」と力を込めました。

 

ヘンリー・ウィルコックス役の山路さんは「どんな方が演出して、どなたが出演されるのかを聞いて、断ることができないなということになり、それで喜んでお受けさせていただきました」と出演を喜び、「自分の周りにもマイノリティの人間は数多く見てきました。亡くなった方もたくさんいます。彼らの中にはとても好きな人が何人もいて、尊敬する方も何人もいて、その方々はこの作品を見たかったかもしれないなと思います。そうした恋愛感情のようなものを見せられたらいいなと心密かに考えています」と話しました。

 

そして、マーガレット役の麻実さんは「私は最愛の息子マイケルと突然の別れがあり、そしてそれからは人間として大切な尊厳に向き合う母を演じさせていただきます。息子、そして母の絆を表現できたらと思います」と説明。マーガレットは、後篇のクライマックスで登場しますが、麻実さんは自身の出演シーンについても「尋常じゃないほど長い、長台詞をいただきました。ただ、その中に含まれている繊細さや愛、全てを、終幕に私自身がセリフと語り合ってまとめあげて、お客さまにお出ししたいと思っています」と思いを述べました。

 

エイズの流行とHIVと共に生きる人々の姿を描いた本作ですが、本作を今、上演する意味を尋ねられると、福士さんは「僕らの中でも(コロナ禍の)このパンデミックの3年半の期間は、死ぬまで忘れられないような出来事になったなと思っております。人とのつながりをすごく感じた3年半だったように思っています。この作品を読んだときに僕は、人が人を愛する美しさや、時に愚かさ、でも止められない感情が人には絶対あると感じました。この時代、世界的にも悲しい事件やニュースが飛び込んでくる中、愛をテーマにして、何か表現できて、伝えられたらと思います」と真摯に語りました。

 

また、この日、ウォルターとモーガンの2役を演じる篠井英介さんから音声メッセージも到着。篠井さんは「この作品は一生に一度あるかないかの大作です。心して、皆さんのお力を借りながら足手まといにならないように一生懸命務めたいと思います。ご覧になる方もなかなか大変なお芝居だと思いますが、熊林さんの指導のものとに一丸となって、とてもいい作品になることを願っております」とコメントを寄せました。

【公演概要】
■タイトル
『インヘリタンス-継承-』
■日程・会場
東京公演:2024年2月11日(日・祝)〜2月24日(土) 東京芸術劇場 プレイハウス
大阪公演:2024年3月2日(土) 森ノ宮ピロティホール
北九州公演:2024年3月9日(土) J:COM北九州芸術劇場 中劇場
■作 マシュー・ロペス(E・M・フォースターの小説「ハワーズ・エンド」に着想を得る)
■訳 早船歌江子
■ドラマターグ 田丸一宏
■演出 熊林弘高
■出演
福士誠治 田中俊介 新原泰佑 柾木玲弥 篠井英介 山路和弘 麻実れい(後篇のみ) ほか

(2023,11,24)

photo&text:Maki Shimada

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