スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』取材会が2023年12月18日(月)に行われ、中村隼人さん、市川團子さん、中村米吉さんが登壇しました!!

日本神話にある日本武尊(やまとたけるのみこと)の伝説をもとに、哲学者の梅原猛さんが書きおろし、二世市川猿翁さんが主演・脚本・演出を手掛けたスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』は、37年前の1986年に初演されました。新たな構想のもと、独創的なドラマとして築き上げられた本作は、“スーパー歌舞伎”という新たなジャンルを打ち立て、歌舞伎かいに多大な影響を与えています。

本作は、3S(ストーリー・スピード・スペクタクル)を重視することを特徴とし、猿之助さん自ら手掛け培ってきた「猿之助歌舞伎」と呼ばれる手法や趣向に加え、古典歌舞伎が持つ美意識や感覚、演出、装置、音楽、衣裳、照明などを一つに融合させ、現代の人々に感動を呼ぶ作品を創造しました。

今回の公演では、ヤマトタケルと大碓命の二役を隼人さんと團子さんが交互出演にてつとめます。

隼人さんは、「38年の時を経て新たなキャストで上演させていただきます。この作品は、新作歌舞伎ですが、私の父(中村錦之助さん)がつとめたということで、数少ない親子で新作歌舞伎を再演できるということは嬉しく思っております」と想いを語ります。

父・中村錦之助さんとは「古典歌舞伎では共演はあるんですが、スーパー歌舞伎では初めて。父がつとめた役をやるのも新作では初めて」と言い、「父も喜んでくれて、ちょうどお前くらいの年の頃にやっていたと。本当に作品ができるまで大変だった。それを特別マチネ公演でさせていただくのは大変だったという思い出話をしていただいた。父が最初につとめたのも熊襲弟タケルを38年くらいの時を超えてつとめてくださるので、重たい衣裳を着て、対等に立ち回りをするというのは心配な部分もありますが、何よりも歌舞伎は経験が生きる作品なので、きっと色々と教えてくださるでしょうし、父も支えてくださると思うので、親子だけれど、歌舞伎の先輩、後輩としてぶつかっていきたいなと思います」と意気込みました。

 

一方、團子さんにとっても本作は初舞台を踏んだ作品です。若い役者が中心となって上演される今回の公演について、團子さんは「(初舞台を踏んだ)当時から、祖父(二世市川猿翁)のビデオもたくさんみていましたし、演目にもずっと憧れていたので、まさかこの演目で大碓命のお役をさせていただけるとは思っていなかったので、今でも実感が湧いているかというと難しいです。ですが、他の作品と同じように頑張って、自分なりに研究をして稽古をして勤めさせていただければ」と決意を新たにしました。

 

米吉さんが演じるのは、兄橘姫と弟橘姫の二役。近年は、それぞれ一役ずつ役者が演じることが多かった役ですが、今回は初演時と同様に、一人二役の形で上演されます。

米吉さんは「父(中村歌六)は日頃から、初演がどれだけ大変なもので、どれだけ凄いことを猿之助のおじさんがなさったか、耳にタコができるほどなんべんも聞いておりましたので、この二役をつとめさせていただけることが本当に嬉しくてご縁を感じる次第です。今この作品があるからこそ、昨今の新作歌舞伎が作られているというのは明白だと感じています」と力を込め、「團子さん、隼人さん、福之助と歌之助という私より年下の同世代の5人に加えて、錦之助のおじ、門之助のおじさん、そしてまた澤瀉一門の皆さまが参加されて、層も厚くなっております。出演者の魅力もぜひぜひお感じいただけたらと思っております」とアピールしました。

また、2023年9月に亡くなられた二世市川猿翁さんに対し、團子さんは改めて「私が歌舞伎を好きになったのは『祖父』という存在が本当に大きい。祖父はどんなときも頑張れとおっしゃる方なので、ただただ頑張ります。『ヤマトタケル』に関しては祖父のビデオもたくさん残っていますので、『学ぶは真似る』と(二世市川猿翁さんが)おっしゃっていましたが、本当に真似をして一つひとつ忠実に、どのように演じていたのかをしっかりと研究して、祖父に似せて挑めたらと思います」と語りました。

【公演概要】
■タイトル
スーパー歌舞伎 三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』
■日程・会場
2024年2月4日(日)〜3月20日(水) 新橋演舞場
■作 梅原猛
■監修 石川耕士
■脚本・演出 二世市川猿翁
■出演
中村隼人、市川團子、中村米吉ほか

(2023,12,19)

photo&text:Maki Shimada

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