数々の演劇賞を受賞したブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』が、2024年3月に豪華キャストで日本初演されます。
本作は、2001年9月11日の同時多発テロの裏で、カナダにある小さな町・ニューファンドランドで起きた実話を基にした物語。12人の出演者のみで100人近い役を次々に演じ、5日間の物語を紡ぎ出します。
ダイアン(とそのほかの役どころ)を演じる安蘭けいさんに、作品への想いや公演への期待、そしてNorieM恒例のファッションについてお伺いしました!!

 

―トニー賞やローレンス・オリヴィエ賞など、数々の演劇賞を受賞した話題作の日本初演になります。今回、このお話を聞いたときはどんなお気持ちでしたか?
トニー賞を受賞したのが2017年でしたので、その翌年の2018年にニューヨークでこの作品を観させていただいたんですよ。すごく注目されていた作品でしたし、とても感動したのを覚えています。役者の皆さんも本当に素晴らしくて。12人で演じていると思えず、カーテンコールで並んだ姿を見て「本当にこの人たちだけでやっていたんだ」と改めて驚きました。

 

―ご覧になって、出演したいという思いも?
この作品に限らず、海外で観るといつも思うのですが、私自身が出演したいかどうかよりも、これは日本人にできるのかなという思いの方が強いのかもしれません。特にこの作品は題材が題材なので、日本で上演するのはすごく難しいのかなと。なので、出演したいということもその時は考えられなかったですね。実際にお話をいただいて、いよいよやるんだ、と。ニューヨークで観てから7年、ようやくこちら側の受け入れ態勢ができたのかなと嬉しくなりました。

 

―ご出演が決まってから、改めて映像で本作をご覧になったと思いますが、ニューヨークで観劇した当時と印象は変わりましたか?
自分が演じると思って観たら、本当に大変だなと感じました(笑)。一観客として観ている時は、ただ物語に没頭していましたが、演じるとなると自分の役柄を追いかけて観てしまうので。「あれ、どこで何してる?」「この歌を歌うんだ」「この役も演じるんだ」と分かっていても追いつかないくらい様々な役を演じていたので、改めてこれは本当に大変な作品だと思いました。

 

―そうした大変さがありながらも、同時に楽しみな要素も多い作品だと思います。安蘭さんが、この作品に出てみたいと思った一番の魅力はどういったところですか?
この作品は、9.11同時多発テロを題材とした作品なのですが、事件が起きてからまだそれほど時間が経っていないですよね。それをアメリカではすごいスピードで作り上げた。ニューヨークのビルもみんなが訪れられるように早々に整備されましたが、そうしたスピード感はアメリカ人ならではだと思います。それに、ストレートプレイでも作れるのに、あえてミュージカルにしたのがよかったのかもしれない。悲惨な出来事の中にも人の温かみを表現する作品になっているのは、音楽があってこそだと思います。この作品を作った方たちの素晴らしいところだなと尊敬します。この出来事を風化させないように、いつまでもみんなの記憶に残るように一つの作品にしたんだなと思うと、その気持ちにも心を打たれます。

 

―安蘭さんご自身は、事件当時のことをどのように記憶されていますか?
鮮明に覚えています。あれはリアルなのだろうか、もしかしたら映画なのかと思いながらテレビをみていました。私自身はそうしてリアルタイムでニュースを見ましたが、共演者の方にもお客さまの中にも、当時、まだ幼かったという人もいると思います。もしかしたら、その時、ニューヨークにいたという方もいらしゃるかもしれない。そうした中で、日本のお客さまはどのようにこの作品を受け入れられるのかなというのもとても興味深いです。

 

―そうした実話を基にした作品に出演するというのは、思い入れも深くなるのではないですか?
どんな作品でも同じではありますが、実在する人物を演じるとなったらより一層、嘘をついてはいけないと思います。だからこそ、余計に慎重に演じなくてはいけない。大げさにするのではなく、リアルな本当のことだけを言わなくてはいけないと思うと、とても緊張してしまいますね。特に、今回の題材はすごくデリケートなものです。ただ同時に、この作品はポップな要素も多い作品でもあるので、そこまで固くなることもないのかなとも感じています。

 

―今作では、複数の役柄を演じることになりますが、メインの役柄であるダイアンはどんなキャラクターですか?
テキサスから来た飛行機の乗客で、事件があってニューファンドランド島のガンダーという街に降り立ちます。テキサス出身のすごく保守的な女性ですが、その街で知り合った男性と恋に落ち、5日間の間に愛を育みます。この作品の中では、石川禅さんとロマンス部分を担当しております。

 

―ロマンスもあるんですね!! では、豪華なキャストの方々が集結した作品ですが、このメンバーでの稽古にどんな楽しみがありますか?
私、昨日、夢に見ちゃったんですよ。このメンバーで共演する舞台の稽古が始まるというのに、全然まとまらなくて、「どうしよう。どうやってまとめればいいんだろう」って思う夢を(笑)。今日、取材だと思っていたからきっとそんな夢を見たんでしょうが、その夢があったので不安しかないです(笑)。誰が舵取りをするんだろうと。

 

―とはいえ、実力者ばかりなので、きっと最後にはまとまった素晴らしいものになるのだろうという期待がありますが。
うん、それはもう皆さん百戦錬磨の方たちなので。もしかしたら、作っていく過程では紆余曲折があるかもしれないですが、一つの光が見えたときはバッとまとまるのではないかなと思います。

 

―演出面もかなり工夫されている作品だと思いますが、それについてはいかがですか?
とても細かい演出になっています。一つ掛け違えてしまうと、どんどんズレていってしまうというような。なので、綿密に決められたことをやっていかないといけないのかなと思います。例えば、イスの置き方一つとっても、少しでもズレたらいけないですし。だから、不安なんですよ(笑)。きっとみんな思っていると思いますよ(笑)。

 

―皆さん、存在感がありますもんね。
「もう分かった、分かった。そこまで出なくていいよ」と言いたくなる人ばかりですね(笑)。

 

―そうしたメンバーの中で、安蘭さんはどんな立ち位置になるのでしょうか?
私はまとめ役か笑わせ役だと思います、きっと(笑)。

 

―ありがとうございました!! 最後に、改めて本作を通してお客さまにどんなことを届けたいとお考えですか?
信じがたいこの事実を風化させてはいけないなと思います。とはいえ、まだこの問題は現在進行形でもあって、いつ同じような事件が起こるか分からない危機感を持っていなくてはいけないとも思います。平和のためにどのように生きていくのか。どのような選択をするのか。どういうふうに人と接していくのかを、一度、立ち戻って考えていただけたら嬉しいです。それから、希望というのはどんな時でもあるのだなと、この作品を通して私は感じました。色で例えるなら、この物語はグレーから始まるかもしれませんが、どんどん色がついていって、最後は虹色になる。闇だけじゃないんです。悲しい事件の裏にも、こんな話があったんだと、人の温もりを感じていただけると思います。


▶︎安蘭けいさんのファッション事情◀︎
―本日のお衣裳のポイントを教えてください!!
ポイントはこの黒いジャケットです。最近は、こうした撮影でジャケットを選ぶことは少ないのですが、これは軽くて羽織りやすくて。いろいろなシーンで着れそうなので気に入っています。

 

―普段はどんなファッションをされることが多いのですか?
楽なファッションが好きです。スカートよりもパンツが多いですね。宝塚を退団してから一時期は、スカートばかり履いていたんですよ。宝塚時代にはスカートを履くことがなかったので、その時は反動で履きたくなったのですが、最近になって、私はパンツの方が似合うんじゃないかと思うようになって。それでパンツが多くなりました。

 

―最近買ったお気に入りのアイテムは?
つけ襟のように、かぶるだけでパーカーになるというアイテムがお気に入りです。毛糸でできているので首元も暖かいですし、それだけで重ね着をしているように見えるので、この冬、活用しようと思っています。

 

―では、最近のマイブームは?
最近、ハマったのは水素です。水素水や水素のサプリを飲んだり、水素の入浴剤を使ったり、寝るときには水素を鼻で吸いながら寝たり…水素大好きです。疲れが取れやすいんですよ。水素は活性酸素を抑えるので、体が錆びないと言われているそうで、なんとなく体が楽になった気がします。

 

―最後に、安蘭さんが輝き続けるためにしていることを教えてください!!
水素かな(笑)。それから、やり続けていることで言えば、ストレッチは絶対に欠かさないです。休みの日も朝晩、必ずやります。私は、もともと、すごく凝り性なんですよ。でも、ストレッチをして寝ると、朝起きたときの体が全然違うんです。どうしても寝ている間に体が固まってしまうから、緩めてから寝る。皆さんにオススメしたいです。

 

【profile】
安蘭けい/Kei Aran
滋賀県出身。1991年、宝塚歌劇団に首席で入団。『ベルサイユのばら』で初舞台を踏む。2004年には現役の宝塚歌劇団生では初となる松尾芸能賞演劇新人賞を受賞。2006年、星組男役トップスターに就任。東京宝塚劇場開場以来、史上最高の動員記録を樹立した『スカーレット・ピンパーネル』(小池修一郎演出)の日本初演などに主演した。2009年、宝塚歌劇団を退団。退団後も女優として舞台を中心に活躍している。
『サンセット大通り』『アリス・イン・ワンダーランド』の演技に対して、第38回菊田一夫演劇賞受賞 。 近年の主な舞台作品に『漂流劇 ひょっこりひょうたん島』『スカーレット・ピンパーネル』『白蟻の巣』『リトル・ヴォイス』『リトル・ナイト・ミュージック』『レインマン』『民衆の敵』『マン イスト マン』、『ハル』、ドラマ『KBOYS』(ABCテレビ/GYAO!)など。『スカーレット・ピンパーネル』では、主演のパーシーとヒロインのマルグリットの両方を演じた唯一の俳優でもある。近年の出演作は、『サンセット大通り』『ビリー・エリオット』『ジェイミー』『蜘蛛女のキス』『血の婚礼』『キングアーサー』『エドモン~シラノドベジュラックを書いた男~』『ラグタイム』など。
▪️公式ホームページ
https://kei-aran.com/
▪️公式Instagram
https://www.instagram.com/toko_aran/

photo:Hirofumi Miyata/styling:Kazumi Hayakawa/hair&make-up: Machiko︎/interview&text:Maki Shimada

Jacket,Blouse,Pants:SEMICOUTURE(お問い合わせ tel:03-3408-6690)
Cape:cashmika(お問い合わせ mika@cashmika.com)


【STORY】
2001年アメリカ同時多発テロ勃発。アメリカ合衆国の領空は一斉閉鎖された。アメリカ国内の空港に向 かっていた世界各国の旅客機のすべてが、急遽国外の空港にルート変更を要される。その行き先のひとつに指 定されたのが、カナダ北東部Newfoundland島にあるGander空港だった。ここは、長距離飛行が実用化さ れる以前の時代、北米のハブ空港として、あるいは軍事拠点として利用されていた歴史があった。ひとつの町 がすっぽり入るほど巨大な空港であるがゆえ、大量の大型旅客機を受け入れるキャパシティーが見込まれた。 そして、この島にルート変更し送り込まれた飛行機は実に38機。空港に降り立った乗客の数は7,000人 になり、わずか1万人というNewfoundland島の人口は、一瞬にして2倍近くに膨れ上がった。町の人々は 突然現れた旅客難民のために動き始める。

 

【公演概要】
■タイトル
ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』
■日程・会場
東京公演:2024年3月7日(木)〜3月29日(金) 日生劇場
大阪公演:2024年4月4日(木)〜4月14日(日) SkyシアターMBS
愛知公演:2024年4月19日(金)〜4月21日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
福岡公演:2024年4月26日(金)〜4月28日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
熊本公演:2024年5月3日(金祝)〜5月4日(土) 熊本城ホール メインホール
群馬公演:2024年5月11日(土)~5月12日(日) 高崎芸術劇場 大劇場
■脚本・音楽・歌詞 アイリーン・サンコフ/デイヴィッド・ヘイン
■演出 クリストファー・アシュリー
■ミュージカルステージング ケリー・ディヴァイン
■出演
安蘭けい 石川禅 浦井健治 加藤和樹 咲妃みゆ シルビア・グラブ 田代万里生 橋本さとし 濱田めぐみ 森公美子 柚希礼音 吉原光夫 ほか (五十音順)
■公式ホームページ
https://horipro-stage.jp/stage/comefromaway2024/

(2024,01,25)

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CHECK!!

▶️安蘭けいさんの撮影アザーカットをNorieM shop&magazineのInstagramで公開中!!

下記のリンクからご覧いただけます!!

https://www.instagram.com/noriem_press/