ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』の囲み取材・公開ゲネプロが2024年3月6日(水)に行われ、安蘭けいさん、石川禅さん、浦井健治さん、加藤和樹さん、咲妃みゆさん、シルビア・グラブさん、田代万里生さん、橋本さとしさん、濱田めぐみさん、森公美子さん、柚希礼音さん、吉原光夫さん、オリジナル演出家のクリストファー・アシュリーさんが登壇しました。

本作は、2001年9月11日の同時多発テロの裏で、カナダにある小さな町・ニューファンドランドで起きた実話を基にした物語。12人の出演者のみで100人近い役を次々に演じ、5日間の物語を紡ぎ出します。

演出のクリストファーさんは、「この作品を作ってからの9年間も、この世界では大きな分断やたくさんの紛争が起こっています。このように戦争やパンデミックがある中で、優しさや他人に対して寛容な思いを持つ作品を手掛けられて幸せです。しかもこの作品は実在の人物、今も生きている方々がモデルで、そうした作品を手掛けるのは僕も初めてでした。彼らはメイキングの段階から協力をしてくださって、今ではこの作品のファンとして世界中を追いかけてくれています。僕はこの日本のキャストとご一緒できて本当に楽しい。この作品については何もかも知り尽くしていたつもりですが、今、たくさんのことを学んでいます。この人たちが好きすぎて、今後この人たち以外とお仕事しないと思っています(笑)」と挨拶しました。

また、稽古場での様子を聞かれると、森さんは「誰かが必ず差し入れをするのが習慣で、稽古中は本当に食べるものが豊富だったので、こんなに過酷なことをやっているのに痩せない。なので、食べるのを辞めたら痩せはじめました(笑)。ケンタッキーもマックもあったし、稽古場とは思えない環境だったので、驚きました」と笑って明かしました。

 

咲妃さんはスタンバイキャストについて言及。「4名のスタンバイキャストが、私たちより先に通し稽古を3日間で一人3役をやって見せてくださったのですが、本当にすごいものを見させていただきました。スタンバイキャストの方々の底力に支えられてお届けできることが大変心強いなと改めて思っています」と話しました。

 

取材会の最後には、橋本さんが「この物語を通して、今、悩んでいる方、壁にぶつかっている方、前に進もうと思っても不安になっている方々にエールを送りたいと思います」と宣言すると、ジャケットを脱ぎ捨てて三三七拍子を行い、盛り上げました。

 

以下、出演者の皆さんのコメントを紹介します。

安蘭けいさん
足掛け約6ヶ月準備してきた。今、振り返ってもあっという間で明日が初日とは信じられないですが、密度の高いお稽古をしてきたので、すばらしい初日になるなと思っています。日本キャストにしかできない味が皆さまにお届けできたらと思っています。

 

石川禅さん
私たちは実在した人物を演じることはたくさんありますが、今も実在していらっしゃる方を演じることは本当にないんです。なので、限りなくドキュメントに近づけたドキュメントです。嘘をつかず、その方たちのお気持ちに成り代わって演技をするのは高いハードルだと思っています。そのハードルを飛び越えようと思っていますが、あまりにも楽しい稽古だったので、毎日、爆笑をしながらやっていました。

 

浦井健治さん
昨日、安蘭さんが「始まるということは終わってしまうんだよね、寂しい」とおっしゃっていましたが、それくらいずっとみんなで一緒にお稽古をしていました。(スタンバイキャストを含めた)この16人で完走できることを目標にやってこれたことが幸せなんだと感じます。この作品から人はあたたかいのだなと感じさせていただいたので、大切に演じたいと思っています。

 

加藤和樹さん
ミュージカル界の“アベンジャーズ”と共演するということでドキドキしていましたが、稽古を重ねていく中で、みんなが同じ時間を共有し、失敗を笑いに変えながら前に進んでいく感覚がファミリーのような感覚があります。不安もありますが、長い稽古期間で培ってきたものを舞台上で出したいと思います。日比谷界隈で1番のエネルギーを出したいと思っています。

 

咲妃みゆさん
お稽古を振り返ると本当に壮絶でしたが、だけど本当に愛おしい日々でした。一人の人間として今後の人生で心にずっと持っておきたい大切な考え方をこの作品からたくさん学ばせていただいていることに感謝しています。早くお客さまにお届けしたいですし、この作品のモデルとなった方々への敬意を胸に一回一回、大切にお届けしたいと思います。

 

シルビア・グラブさん
先ほど初めて舞台上で照明とセットを合わせて通させていただきました。実は、M13のナンバーで一列になって歌うシーンで、涙が出てきてしまって、めっちゃ感動して。最後のピースのお客さまが入った時にどれだけ冷静でいられるか分からないくらい最高でした。観ている側も最高だと思うので、劇場にぜひお越しください。

 

田代万里生さん
今回、衣裳もカジュアルで、普段着なのか衣裳なのか分からないくらい自然ですし、男性はメイクもしていません。女性もガンダーの街での突然の出来事を描いているので、着飾っていませんが、日常と非日常というカテゴライズがない作品は僕も初めてです。全部で50公演以上、地方を回ります。この作品は1幕で約100分なので、これから5000分くらい一緒に歩んでいくということで、ぜひたくさんの方に見届けてもらいたいなと思います。

 

橋本さとしさん
僕がこれまで経験した中で、最も過酷な稽古だった気がします。僕は普段、そんなにミスらないんですけどね(笑)。今回は、めちゃくちゃミスもしましたが、みんなが笑い飛ばしながらやってくれるので、恥もかき捨てて稽古をして、やっとここに辿り着きました。みんなと一緒にこうやって稽古を経て、劇場に入って、初日を迎えられるのが嬉しい限りです。

 

濱田めぐみさん
お稽古場にいる時からこのメンバーが1メートル以上離れずに、1日8時間ずっと一緒にいたので、本当にファミリーで親族の寄り集まりのようなニュアンスです。そのままステージに上がって、近くでみんなでお芝居します。我々がお稽古場で積み上げたチームワークが垣間見れると思いますし、観客の皆さまがそのチームワークの中の一員になってくださるんだと思うと楽しみで仕方ないです。

 

森公美子さん
皆さんとヒザが死ぬんじゃないかというくらいお稽古をして、楽しい稽古場で、7キロ痩せました。「カム フロム アウェイ ダイエット」です(笑)。これまで9.11の映像をみたり、たくさん勉強もさせていただきました。私がニューファンオランド島にいる方に近い体型だということも分かって、ハンナのモデルの方にも体型だけは似ております(笑)。私も頑張っておりますので、ぜひ観に来てください。

 

柚希礼音さん
私はこれまでたくさん演じてきましたが、このミュージカルでは“演じない”ことがテーマで、それを何度も稽古中に言われ、めちゃめちゃ難しかったです。ですが、キャストの皆さまが家族のように「こうしたらいい、ああしたらいい」と自分のことのように教えてくれるんです。作品もあたたかいのですが、キャストのみんなもあたたかくて、心がポカポカしながら、まず明日、お客さまにあたたかい物語を届けたいと思っています。

 

吉原光夫さん
僕は人の言うことを聞きたくなくて役者をやっているんですが、この稽古期間中は軍隊のように細かい決まりがたくさんあって、地獄のようで、稽古が早く終わればいいのにと思っていました(笑)。でも、この穏やかで、誇り高い作品が、どう日本のお客さまに届くのか。商業演劇にあげる時にノイズが走るんです。それをホリプロさんをはじめ、ミュージカル界のポンコツスターたちがどう穏やかに優しく、人に対して想いを寄せてこの作品をお客さんに届けるのか。始まるまで気を緩めずに人の言うことを聞いて頑張りたいと思っています。


 

【公演概要】
■タイトル
ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』
■日程・会場
東京公演:2024年3月7日(木)〜3月29日(金) 日生劇場
大阪公演:2024年4月4日(木)〜4月14日(日) SkyシアターMBS
愛知公演:2024年4月19日(金)〜4月21日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
福岡公演:2024年4月26日(金)〜4月28日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
熊本公演:2024年5月3日(金・祝)〜5月4日(土) 熊本城ホール メインホール
群馬公演:2024年5月11日(土)〜5月12日(日)  高崎芸術劇場 大劇場
■脚本・音楽・歌詞 アイリーン・サンコフ/デイヴィッド・ヘイン
■演出 クリストファー・アシュリー
■ミュージカルステージング ケリー・ディヴァイン
■出演
安蘭けい、石川禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森公美子、柚希礼音、吉原光夫 ほか(五十音順)

(2024,03,08)

photo&text:Maki Shimada

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▶️安蘭けいさん、咲妃みゆさんインタビュー公開中!!

安蘭けいさん “希望というのはどんな時でもある”

 

咲妃みゆさん “大きな挑戦をさせていただける作品に巡り合えました”

 

下記のリンクからインタビュー撮影時のアザーカットをご覧いただけます!!お見逃しなく!!

https://www.instagram.com/noriem_press/