上演のたびに大きな話題を呼ぶ、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が3年ぶりに上演されます。本作は、2001年にフランスで生まれ、世界20カ国以上で600万人以上を動員したメガヒット作品です。日本では、小池修一郎さんの演出で、2010年に宝塚歌劇団によって初演されました。2011年には、新たにミュージカル『ロミオ&ジュリエット』〈日本オリジナルバージョン〉が誕生。今回は、2021年以来、6度目の上演となります。奥田いろはさん(乃木坂46)とともにダブルキャストでジュリエットを演じる吉柳咲良さんに、公演への意気込みやジュリエット役について、さらにはファッションについてもたっぷりお話しいただきました!!

 

―最初に、ご出演決まったときのお気持ちを聞かせてください。
私はこの舞台の楽曲が大好きで、楽曲を歌いたいと思ったことからオーディションを受けさせていただきました。特に歌いたいと思ったのが「エメ」でした。普段からカラオケで歌うこともあったのですが、舞台で、ジュリエットとして歌いたいと思って。ただ、ジュリエットは私にはないものをたくさん持っているキャラクターなので、正直、オーディションのときはあまり自信がなかったんです。(演出の)小池修一郎先生とお話をしながらも、「きっと私には無理だろうな。きっとこの役を私が演じることはできないだろうな」とネガティブな感情になってしまって。なので、出演できるというお話をいただいたときは、「どうして私が選ばれたんですか?」と驚きました。その後すぐに、演じることが決まっている以上は、この役をどのようにいいものにしていこうかという考えにシフトチェンジできたので、今はひたすらに頑張るのみだなと思っています。

 

―「なんで私が選ばれたのか?」という疑問の答えは分かりましたか?
まだ全く分からないままです。きっと、小池先生の中で私をジュリエットにするのは挑戦のようなところがあると思います。稽古を重ねていく中で、どういうジュリエット像を作り上げていくのか。小池先生が目指す姿に近づきたいと思いますし、頑張ってお稽古についていきたいなと思っています。

 

―吉柳さんといえば、ミュージカル『ピーターパン』で10代目ピーターパンとして女優デビューしました。もともとミュージカルに対する憧れがあったのですか?
実は、13歳でピーターパンを演じるまでミュージカルを観たことがなく、ミュージカルというものの存在もあまり知らなかったんです。自分が出演する側になって初めて舞台を観に行ったような状態で…。なので、最初は不安でしたし、何がなんなんだかよく分からないまま、稽古に入ったので、大変だったこともたくさんありました。ですが、6年間、ピーターパンとして舞台に立つうちにミュージカルが大好きになりました。生で感じるお客さまのエネルギーと私たちが発するエネルギー、それに音楽が乗って、一つの作品になる瞬間を見るとたまらなく気分が高まって、この場所が好きだと感じます。今では、これから先もミュージカルを続けていきたいと思っています。

 

―ピーターパンは、吉柳さんに近いキャラクターですか?
そうですね。私の素は、ピーターパンに近いと思います。誰よりも稽古場で走り回っていましたし、急に側転をして、ケガをしないように気をつけなさいと怒られたりしたこともありました(笑)。

 

―では、そんな吉柳さんが、今回、ジュリエットを演じる上では、どんなことを意識したいと考えていますか?
何よりも歌を聞いていただきたいと思っています。歌は私自身が得意としているというのもありますし、自分が好きな楽曲を歌えることがすごく嬉しいので、きっと自然と力が入ると思います。これまで私を見てきてくださった方たちには、私のジュリエット姿を見て、雰囲気が変わったなときっと感じていただけると思います。この作品は、私が20歳になって初めてのお仕事でもあるので、少しでも大人になったということを感じていただけるように頑張ります。

 

―先ほど、ジュリエットは吉柳さんが持っていないものを持っているキャラクターとおっしゃっていましたが、脚本を読んで共感するところはありますか?
ジュリエットの「この人を守り抜く。愛し抜く」と決めたときの強さは、きっと私にも通ずる部分があるのではないかなと思います。ただ、私はきっと、ジュリエットのように人をあそこまで真っ直ぐに愛することはできないとも思います。(ジュリエットの激情は)若さゆえということももちろんあると思いますが、あれほど運命を感じられる出会いがあるというのは、すごく羨ましいです。

 

―ロミオ役の小関さんと岡宮さんとは初共演です。お二人の印象を聞かせてください。
お二人ともすごく面白い方です。小関さんは、雰囲気が柔らかくて、温かい方で、ほんわかする感じが周りを自然と安心させてくれます。これから一緒に作品を作り上げていくのがすごく楽しみです。笑顔が素敵な方なので、あの笑顔を見たら嫌なことも忘れられそうだなと思います。岡宮さんもすごく面白い方。ツッコミが鋭いんです。そのツッコミが私のツボで(笑)。私と岡宮さんは誕生日が1日違いなので、そうした話で盛り上がって、距離が縮んだ気がします。気前のいいお兄ちゃんという印象で、話しやすくて、一緒に歌を合わせるのも楽しみにしています。

 

―ダブルキャストでジュリエットを演じる奥田さんは、どんな印象がありますか?
いろはは、明るくてキラキラしていて、可愛らしくてピュア。一目見たときに、いろはがジュリエットに選ばれた理由がすごく分かりました。私にはないものを持っている方なので、多少の悔しさも感じました。お話をしていく中で、いろはの中にある強さやどっしり構えているところが見えたり、意外と緊張しいだったり、人間味も感じて、なんて愛おしいんだろうと思いました。すごく波長が合うので、怖がることなく一緒にジュリエットを作っていける関係性でありたいと思っています。いろはは、今回、初ミュージカルですが、私自身、右も左も分からない状態で入った初舞台の怖さを知っているので、何か助けになれたらいいなと思います。そうは言っても、きっといろはは、きちんと周りを頼ることもできる人だと思います。今は、いろはと一緒に作り上げていくことが、ただただ楽しみで仕方ないです。

 

―ダブルキャストで演じることに対する楽しみはありますか?
私は、今回、初めてダブルキャストでやらせていただくので、どういうものなのか、まだまだ未知数ではあります。ただ、一緒に作り上げていく人が多ければ多いほど、理解し合える相手も多いということだと思うので、それだけですごく力になると思います。助け合っていける、とても温かい現場になるんじゃないかなと思っています。

 

―では、この作品をお客さまにどのように楽しんでもらいたいと考えていますか?
いろいろな組み合わせで観ていただきたいです。私が作り上げていくジュリエットと、いろはが作り上げていくジュリエットはきっと違ってくると思いますし、同時に小関さんと岡宮さんのロミオも全然違うと思います。組み合わせによって全く違うものになると思うので、何度も楽しんでいただけると嬉しいです。私は早く届けたいというワクワク感でいっぱいです。楽曲の素晴らしさはもちろん、この作品が長年愛され続けている理由がたくさん散りばめられているので、観るたびに発見もあると思います。ぜひ、どんな形でもいいので、皆さんの感想を聞かせていただきたいです。いろいろな組み合わせで観ていただいて、このロミオとジュリエットの組み合わせはこうだったという考察もぜひ聞いてみたいと思っています。

 

―吉柳さんご自身は、この作品に出演することで、どのような成長が得られると考えていますか?
ジュリエットは、「登竜門」と呼ばれることもある役柄なので、それを経験できることをまず心から嬉しく思っています。それから、この作品に限らず、私自身にないものを知ることができるのはとてもありがたいことなので、今回もこれまで見せてこなかった姿や私にはない部分で役を形成していく作業ができることが嬉しいです。きっとそれがこの先の私の武器にもなるのではないかなと思います。

 

―最後に、公演への意気込みと読者にメッセージをお願いします。
ロミオ、ジュリエット、その他の登場人物もいろいろなキャストの組み合わせで楽しめる作品です。私たちは、その日のお客さまの温度感や思いを背負って舞台に立っているので、毎日空気感は変わっていくと思います。そうした生でしか体験できないものを感じられるのが舞台の魅力だと思います。音楽の素晴らしさも加わり、1回だけでは見きれないほど見どころがたくさんあります。なので、ぜひ何回でも遊びに来ていただけたら嬉しいです。


▶︎吉柳咲良さんのファション事情◀︎
―素敵な白のワンピースですね!! 今日のお衣裳のポイントは?
普段は白いレースのワンピースを着る機会がなかなかないので、こういう姿が見られるのはここだけだと思います(笑)。かわいいなと思ったポイントは、首の部分がレースになっていて透け感があるところ。普段、首が詰まっている服は少し苦手なのですが、透け感があると詰まっているように見えず、上品な印象になっているのかなと思います。

 

―普段はどんなファッションが好きですか?
あまりこだわりはなく、その日、その日で自分のテーマを最初に決めて、テーマに沿ってコーディネートしています。その日の気分次第なので、ストリートな服も着ますし、カジュアルな服も着ます。パンクな服も好きです。編み上げのブーツや網タイツ、ダメージの入った服やライダースが大好きです。

 

―その日のテーマというのは、例えばどんな?
友達と2人でショッピングに行く日なら、友達にどういう服を着るのか聞いて、並んだらカップリングに見えるようにあえて「カッコイイ系」にしてみたり。あとはその時に聴いている音楽で決めたりもします。

 

―最近買ったお気に入りのファッションアイテムは?
ちょうどこの間、お友達とお買い物に行って、「MELT THE LADY(メルトザレディ)」というブランドの黒のミニスカートを買いました。大きな飾りがついていて、衣裳のように派手でかわいかったんです。それから、「LAGUA GEM」というブランドのデニムも気に入ってます。淡い色の夏にも使えそうな色合いで、サイドにカーゴパンツのような大きなポケットがついていたり、太ももにチャックがついていたりするクセのあるデニムです。それが最近買った中で、一番お気に入りのパンツです。

 

―パンク系が好きということですが、そうすると音楽もロックやパンクを聞くんですか?
ロックも好きですが、私がパンク系のファッションを好きになった理由は「NANA」という漫画を読んだことからなんです。なので、影響という意味では、音楽というより漫画。漫画からファッションを学びました。なので(「NANA」の中で主人公たちが着ている)Vivienne Westwoodも大好きです。

 

―ああ、分かります! 憧れますよね、あのファッション。では、最近のマイブームやお休みの日にしていることは?
昔はカラオケに行って歌うことが何よりもリフレッシュでした。ですが、こうして歌うお仕事をいただけるようになってからは、喉を大事にしなくてはいけないということもあって、カラオケに行く機会が少なくなりました。なので、最近は友達とカフェに行って、話す時間が大好きです。意見交換会ではないですが、私の考えを伝えたり、友達の考えを聞いたり。新しい価値観を知れる喜びがあって、それがすごく楽しいです。自分の考えていることをアウトプットすることで、新しい発見も多いんです。いろいろな人の意見を聞いてみたいです。

 

―では、吉柳さんが素敵でいるために、輝き続けるためにしていることは?
物事は誰か1人の意見がすべてではないと思って生きています。自分が好きなものでも、誰かにとっては好みじゃなかったりもする。なので、誰か1人の意見がすべてではないし、その1人の意見で評価が決まるわけでもないから、 私は私らしくいることが何よりも大事。それが自分にとって素敵でいる秘訣だと思います。それから、無理をしすぎない、我慢をしすぎないということも大事にしています。

 

【profile】
吉柳咲良/Sakura Kiryu
2004年4月22日生まれ。栃木県出身。
2016 年に「第 41 回ホリプロタレントスカウトキャラバン PURE GIRL 2016」で歴代最年少グランプリを受賞し、翌年ミュ ージカル『ピーターパン』の10代目ピーターパン役に抜擢され俳優デビューを果たす。映画・ドラマへの出演に加え、話題 の映画『天気の子』(2019)、『かがみの狐城』(2022)では声優も務めるなど、活躍の場を広げている。近年の主な出演作に【舞台】『デスノート THE MUSICAL』(2020)、【ドラマ】『未来への10カウント』(EX・2022)、『星降る夜に』(EX・2023)、『リズム』 (CX・2023)、『褒めるひと褒められるひと』『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』(2023・NHK)、連続テレビ小説「ブギウギ」(2024・NHK)【映画】『初恋ロスタイム』(2019)、『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』(2024)などがある。
■公式ホームページ
https://www.horipro.co.jp/kiryusakura/
■公式Instagram
https://www.instagram.com/kiryusakura_official/
■公式X
https://twitter.com/kiryusakura422

photo:Hirofumi Miyata/styling: Takumi Noshiro/hair&make-up:Ai Ichioka/interview&text:Maki Shimada


【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
■日程・会場
東京公演:2024年5月16日(木)〜6月10日(月) 新国立劇場 中劇場
愛知公演:2024年6月22日(土)・23日(日) 刈谷市総合文化センター
大阪公演:2024年7月3日(水)〜7月15日(月・祝) 梅田芸術劇場メインホール
■原作 ウィリアム・シェイクスピア
■作 ジェラール・プレスギュルヴィック
■潤色・演出 小池修一郎(宝塚歌劇団)
■出演
小関裕太/岡宮来夢、吉柳咲良/奥田いろは(乃木坂46)、内海啓貴/石川凌雅、伊藤あさひ/笹森裕貴、太田基裕/水田航生、栗山廉(K-BALLET TOKYO)/キム・セジョン(東京シティ・バレエ団)、彩吹真央、吉沢梨絵、津田英佑、田村雄一、ユン・フィス、雷太、渡辺大輔、岡田浩暉 ほか
■公式ホームページ
https://www.rj-2024.com/

(2024,05,13)

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CHECK①!!

▶️下記のリンクのインスタグラムにインタビュー撮影時のアザーカット&コメント動画を公開いたします!!お見逃しなく!!

https://www.instagram.com/noriem_press/

CHECK②!!

ロミオ役・岡宮来夢さんのインタビューも掲載中!!

“2024年の今だから響くものがたくさんあると思います”