舞台『野球』飛行機雲のホームラン〜Homerun of Contrail公開ゲネプロ&取材会が2024年6月21日(金)に、天王洲 銀河劇場で行われ、橋本祥平さん、中村浩大さん、財津優太郎さん、西銘駿さん、健人さん、大隈勇太さん、結城伽寿也さん、大崎捺希さん、大見拓土さん、相澤莉多さん、瀬戸啓太さん、猪野広樹さん、傳谷英里香さん、村田洋二郎さん、川原和久さんが登壇しました。
本作は、2018年に西田大輔さんによる作・演出で大きな話題を呼んだ舞台の再演です。第二次世界大戦中、“野球”に憧れを抱き、白球を追いかけた少年たちの物語を描きます。再演では、新たなキャストが集結。現在読売巨人軍二軍監督を務める桑田真澄さんが野球監修を担当しました。
穂積均を演じる橋本さんは、「良い作品というのは観にきてくださったお客さまが決めることで、こちらがどうこういうことではないと思いますが、個人的な気持ちでいうとめちゃくちゃいい作品ができました。胸を張って“これはいいぞ”と言える誇らしい作品になっています」と自信を覗かせました。そして、「1カ月間の稽古の中で、お芝居のお稽古プラスα、桑田真澄さんに指導していただいて野球練習もして、濃い1カ月を過ごしました」と稽古を振り返り、「戦争を知らない僕たちはとにかくいっぱい調べて、当時の人に想いを馳せるしかできませんでしたが、考えて、突き詰めてこの場に立たせていただいています。もちろん感動する作品ですが、その感動をどう受け取るかは皆さん次第です。僕たちはただ一生懸命野球をやるだけです。その姿を劇場で観ていただけたらうれしいです」と呼び掛けました。
唐澤静役の中村さんは、「熱量にあふれた、心が震える作品だと感じています。演じていて、チームメイトの伏ヶ丘のメンバーや対戦相手の会沢のメンバーからパワーをもらっています。会場にお越しくださるお客さまにもパワーや熱量を感じていただいて、この空間で野球に浸れたらいいなと思っています。初日から全力で頑張ってまいります」と力強いコメントを寄せました。
そして、島田治人役の財津さんは「この作品がようやく皆さんに届けられる嬉しさと、1日終わるごとにどんどん終わりに近づいてしまうという寂しさがあります。本当にすごい作品になったと思うので、一生懸命走って、球を追いかけて、熱と汗を届けられるように頑張ります」、浜岡喜千男役の西銘さんは「稽古をやっているときに本当に素晴らしい作品になっていると感じ、僕も殻を破らないといけないと思って15年ぶりに坊主にしました。今回、西銘。本気です。色々な人に届いて欲しい作品です。楽しみにしていてください」とそれぞれ思いを語りました。
物語の舞台は1944年、夏。戦時下のこの日、グラウンドでは野球の試合が繰り広げられていました。対戦しているのは、甲子園優勝候補と呼ばれた伏ヶ丘商業学校と、実力は未知数の有力校、会沢商業高校です。彼らは、戦況が深刻化する中、敵国の球技である野球を禁止され、夢見ていた甲子園も中止となっていました。さらに、召集令状が届き、甲子園の夢を捨てきれないまま、予科練に入隊します。そうして、やってきた“最後の一日”に、会沢の投手・穂積と幼馴染の伏ヶ丘の四番打者で投手の唐澤を中心にした球児たちは、ただ野球を心から楽しみ、仲間を想い、必死で白球を追いかけます。
物語冒頭から球児たちによる野球が繰り広げられている本作は、野球の試合と同時進行で物語が進んでいきます。初めは分からなかったそれぞれの事情や人間関係が、試合の合間にエピソードとして描かれていき、彼らの本音が表出します。そこには、死への恐怖や覚悟、無念さや諦め、哀しさもありますが、それよりも仲間を思う気持ち、野球への情熱を強く感じさせます。非常に悲しく切ない物語ではあるのですが、決して重い気持ちになることなく、前向きな気持ちを持って劇場を後にできるのは、彼ら球児たちが本気で野球を楽しみ、全力でプレイする姿が強い印象を残すからなのでしょう。
西田さんによる演出も見事。野球をプレイするシーンでは、ボールはほとんど使わず、音と光を巧みに使いながら、フォームと舞い上がる土埃で表現していました。まるで映像が切り替わるように、キャストたちがステージから出たり入ったり、立ち位置を変えたりしながら、シーンを切り替えていくという手法もスピード感があり、野球をプレイしている臨場感を味わうことができました。
【公演概要】
■タイトル
舞台『野球』飛行機雲のホームラン〜Homerun of Contrail
■日程・会場
東京公演:2024年6月22日(土)〜6月30日(日) 天王洲銀河劇場
大阪公演:2024年7月6日(土)・7月7日(日) サンケイホールブリーゼ
■作・演出 西田大輔
■野球監修 桑田真澄
■音楽 笹川美和
■出演
橋本祥平 中村浩大 財津優太郎 西銘駿 健人 大隈勇太 結城伽寿也 大崎捺希 大見拓土 相澤莉多 瀬戸啓太 猪野広樹 傳谷英里香 村田洋二郎 川原和久
(2024,06,24)
photo&text:Maki Shimada
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