第8回韓国ミュージカルアワードで作品賞、脚本賞、音楽賞の主要3部門を総なめにしたミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』が7月18日から池袋・東京芸術劇場シアターイーストで上演されます。
この作品は、韓国を代表する天才芸術家と称された詩人のイ・サン、韓国抽象美術の先駆者キム・ファンギという2人の男性を夫にもったキム・ヒャンアンの一生を史実に基づいて描いたオリジナル・ミュージカルです。
エッセイストで評論家で西洋画家でもあったキム・ヒャンアンを演じるのはソニンさん。詩人のイ・サンを相葉裕樹さん、キム・ファンギを古屋敬多さんが演じます。
今回、NorieMでは、ソニンさん演じるキム・ヒャンアンの若かりし時代のピョン・トンリムを演じる山口乃々華さんへインタビュー。本作の魅力、インタビューから2週間後に控える開幕へ向けての意気込み、そしてファッションについても語っていただきました!!
ー7月18日の開幕まで約2週間です。今はどんなお稽古をされていますか?
今は全体の方向性の確認が終わって、気持ちやテンポ感、お芝居の雰囲気を詰めていっているところです。共演者の皆さんは私より少し年上ですが、壁なく楽しく明るい雰囲気で接してくださるので、私自身も 窮屈にならずに、とてもリラックスした状態で、お芝居に集中できる環境で、とても楽しくやってます。
ー今回は出演者が4人のお芝居ですが、共演者の皆さんとの稽古で何か感じたことはありますか?
観客としてお芝居を見ている時にこの人すごい、お芝居から伝わる情報量がすごくたくさんあると感じた方がソニンさんなんです。 今回のお稽古で役を作っていくところを見ていると、私が感じている情報は、ソニンさんが表現しようとしていることではなく、ソニンさんの内側にあるものが観ている人に伝わっているんだなと感じました。演じる役者の内側にどんなものを持って演じるかがより大事なことだとソニンさんのお稽古を見て感じてました。そして、演出の稲葉さんが今回上演する劇場はお客さんとの距離が近いので、「嘘がとてもバレる環境です」とおっしゃっていたことも心に残っています。すべてがお芝居なので、リアルではないのですが、その中で起こっていることをどうやったらリアルにお客さまへお伝えできるだろうか。稲葉さんは、会話や台詞の言い回しに何度もトライしてくださるので、それがすごく楽しいです。お芝居を始めた頃にはなかったのですが、本番中に緊張してしまったり、我に返ってしまうことが最近よくあって、そういうことが私自身すごく嫌で、「なんでだろう?」って考えたら、それは自分が表現しようとしすぎるあまり、内側に入っているんだと稲葉さんから教えてもらいました。自分の気持ちばかりを考えてしまう時は、しっかりと集中できていなくて、見逃してることが多すぎるということに気がつきました。もっともっと自分に集中しなければいけないと思っていたけれど、自分に集中する必要は一切なくて、相手に、そして私が置かれた状況の役のことを考えなければいけなかったんです。それは前は出来ていて、教わったこともあったなと思い返し、改めて今はそういうことを忘れていたなと感じる日々でした。
ーソニンさんとひとりの女性を演じますが、役作りの部分でソニンさんと打ち合わせたりしたことはありましたか?
現時点では打ち合わせとかはしていなくて、ソニンさんが演じるキム・ヒャンアンの癖とか歩き方とかをどうにかキャッチしたいなと思っているところです。今はまだ、こうしていこうという役作りが定まっていない時期でもあるので、役として身体を動かしてみて、合わせていく部分が出てくるかもしれませんが、今はこういうところが真似できるなと探っている段階です。
ーご自身で役を作っていく時に大切にしてること、意識していることはどんなことですか?
史実に基づいたお話ということで、現在残っている情報をソニンさん、稲葉さんがいろいろ集めてくださって、それを共有していただきました。共有していただいた情報を私の中でどうやったらリアリティを持たせられるか考えたときに、まずは台本の中の台詞を読んでトンリムを感じることです。そこからイメージをすり合わせ、実際に台詞を喋ってみて、トンリムの考え方や雰囲気をやっと掴めるようになってきます。2.5次元の作品で、元々あるキャラクターを演じるときは、手ぶりや身ぶり、歩き方とか分かりやすい情報があるので、それもベースに身体を慣らしていくという感覚ですが、今回の作品のようにリアルな人を演じる時には、自分をまずベースにして考える部分があります。私がどう思うか、私がどういう風に捉えたかを演じることが多いかな。トンリムについては、いつ生まれて、こういう風に育って、こんな経験をしてという史実に基づいたバックボーンがあるので、大きく外れることはなく、その中でも自分がどう思うかというところまであまり迷わずに動けていると思います。
ー現時点で山口さんが演じるトンリムという女性をどう捉えてますか?
賢くて、 聡明で、凛としている感じ。聡明なんだけれど、堅苦しい感じではなく、柔らかさも持っていて。そして強い。その強さというのが困難に打ち勝てる強さ、逆境に向かって、ガンダッシュできる強さだと思います。うちひしがれるような状況になった時に落ちるけど、強がるところがトンリムらしくて、常に前向きに思考転換ができるところが大人で強いなと感じています。トンリムは、22歳(数え歳で)なんですが、私からは考えられないくらいに人に対してすごく深い愛情があり、それは自分のこともすごく大事にしているからこそだと思います。しなやかに強く生きている女性だなと捉えています。
ー山口さんご自身との共通点やここは違うなと感じるところはありますか?
時代が違うので、女性に対する意識も違うと思いますが、単純にトンリムってすごいなと感じるところもあります。根本的には誰かを頼って生きるという自分本位でない生き方は選ばないで、誰かを頼るのではなく、自分でなんとかしようというところ、これを学びたい、やりたい、そのためにはこうすれば良いと考えて行動するところは、私も持っているなと共感できるところです。違うところは、私よりも強がりで、素直に本音を言うわけではないところですね。でも、根本的な意思、選択の仕方とかは、少し共通する部分もあるかなと思っています。
ー開幕まであと2週間、どんな初日を迎えたいなとイメージされていますか?
こうすれば正解というわけではないけれど、いつも迷った時に選択する方向を決めておきたいです。トンリムならこう選ぶだろう。トンリムならこうするだろうなということが自然と理解できるための 中身をどんどん詰めて、迷うことない道を作っていきたいなって思っています。そして、今回は歌もたくさんあるので、慣れて慣れて喉を慣らして行きたいです。あと実は個人的な目標がありまして、それは、本番と稽古の境目を無くしたいということです。本番が近づいてくると緊張するだろうなと思って、緊張を呼び起こして稽古をするのですが、それってあまり良くなかったなと最近思っていて、この2週間は、立ってる姿はイメージしつつも緊張の練習だけはやめようと思っています。見えている家具や道具の絵の具に温かさや愛情をつかめたら、場所見知りをせずに、見られてることをあまり意識せずにいられるかなって思っています。そこを今回個人的に初トライしていきたいと思っています。
ー最後に作品を楽しみにしてらっしゃる皆さんにメッセージと見どころをお願いします。
出演者は4人だけ。ピアノとバイオリンの演奏者のお2人を含めてステージ上にはたった6人しか居ません。すごく少人数で作られるこの作品は、少人数だからこそ作品に没頭し、共感していただける時間になると思っています。音楽もとても美しくて、序盤から中盤にかけて大ナンバーがある見応え、聞き応えたっぷりな作品です。芸術家のお話ですが、自分たちと駆け離れた人間ということではなく、自分にもそういうことがあったと共感したり、皆さんの人生を振り返ってもらえるような作品になっています。皆さんの心にしっかり届けられるように頑張りたいと思います。ぜひ劇場へお越しください。
▶︎山口乃々華さんのファッション事情◀︎
ー最近のお気に入りのファッションアイテムはありますか?
髪を切って初めての夏で、前みたいなカジュアルすぎるスタイルはボーイッシュになりやすくて、前までのロングだった頃にはフリルのついた感じの服はあまり着ることがなかったのですが、今はヘアーがボーイッシュな分、かわいい服が着やすいなと思ってかわいい服を着てみています。
ー最近買ったお気に入りアイテムを教えてください。
何だろう?この作品のお稽古用に、白のブラウスを買いました。1930年代の女性のイメージの衣裳の絵が壁に貼られていて、ブラウスってあんまり持ってなかったから買ったんですけど、着てみるとちょっといいなって思ってます。 今まではTシャツが多かったのですが、これから夏に使えそうな半袖のブラウスも買おうかなと思ってます。
ーお休みの日の気分転換、マイブームは?
汗をかくのが好きなので、友達とサウナに行ったりしています。
あと最近がキックボクシングにハマってます。
ーはまるきっかけは何だったのですか?
元々グループて活動していた時のトレーナーさんがやっているキックボクシングジムで、あの時のメニューをやっています。当時はあれだけ辛い辛いと思っていたのにやりたくなる(笑)。結局自分のルーツのようなところが探れるのも楽しいですし、キックボクシング自体は、E-girls時代にやっていたわけではないのですが、有酸素で息が上がって、血の味がしてくるあの感じ、あの感覚が結局肌に染み付いていて、好きなんですよね(笑) 。辛いのでもう1ラウンドは無理ですって感じなのに、「GO!!」って言われたらもうやってしまうんですよ!!そういう生活を送ってきたので、やっぱり10年って長かったんだなって実感しています。
ートレーニングで追い込んでいくのが嫌いではないと再認識する機会になっているんですね!!
はい!!結局嫌いじゃないから続けていたんだなと感じますね。
ーご自身が輝き続けるために、素敵でいるために内面的に意識してることを教えてください。
内面はなんでしょうか??夜ご飯を美味しく食べることですね!!それが一番上手に1日を締めくくることができますね。結局1日が気分が変わらないままずっと続くと、やっぱり疲れてくる気がして、疲れると心も暗くなるので、どうにかリセットして寝る!!とにかくリセットして寝る!!というのが一番健康でいられるので、なるべく夜ご飯は手作りをして、自分を甘やかしています。
ー素敵ですね。自分で甘やかすことも大切ですよね!!
好きなものを食べて、あぁ美味しかった!!こんなに美味しいご飯作れるの?うまいなあって、自画自賛しています(笑)。今は稽古中で、あまり出かけることができないので、それが一番健康でいられるなって思っています。
【profile】
山口乃々華/Nonoka Yamaguchi
1998年3月8日生まれ。埼玉県出身。A型。
2011年にLDH主催「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~」選出。ダンス&ボーカルグループ「E-girls」として、2012年発売の「Follow Me」よりパフォーマーとして活動開始。2014年からE-girls主演のオムニバスドラマ「恋文日和」第7話にて主演を務め女優業をスタート。2020年末までE-girlsとしての活動を経て、2021年より女優業として本格的に活動を開始。2021年3月に初のミュージカル『INTERVIEW~お願い、誰か僕を助けて~』に出演。その後『ジェイミー』、『あなたの初恋探します』でヒロイン役を演じ、conSept Musical Drama #7 『SERI~ひとつのいのち』ではミュージカル初主演を務める。
近年の主な出演作は、ミュージカル『SPY×FAMILY』(2023年)、舞台「『呪術廻戦』-京都姉妹校交流会・起首雷同-」(2023年)に出演。
■公式ホームページ
https://www.ldh.co.jp/management/yamaguchi_n/
■公式Instagram
https://www.instagram.com/yamaguchi_nonoka_official/
■公式X
https://twitter.com/nonoka____Y
photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Akiko Yamashita
【公演概要】
■タイトル
ミュージカル『ラフヘスト~残されたもの』
■日程・会場
2024年7月18日(木)~7月28日(日) 東京芸術劇場シアターイースト
■出演
ソニン:キム·ヒャンアン役
古屋敬多:キム·ファンギ役
相葉裕樹:イ·サン役
山口乃々華:ピョン·トンリム役
>>生演奏
ピアノ:落合崇史
バイオリン:廣田碧/森麻祐子
■公式ホームページ
https://bellewaves.jp/lart-reste/
(2024,07,12)
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下記のリンクのインスタグラムに山口乃々華さんのインタビュー撮影時のアザーカットを公開いたします!!お見逃しなく!!