8月に新橋演舞場で上演されるOSK 日本歌劇団 『レビュー 夏のおどり』 が上演されます。
1922年に大阪で誕生したOSK日本歌劇団は、今年で劇団創立102周年を迎える日本のレビュー文化を牽引する歴史ある劇団です。
NorieMでは、本公演がラストステージとなるトップスターの楊琳さんと、娘役トップスタ ーの舞美りらさんへインタビュー!!
ラストステージへ向けての心境と今後のOSKへの想いを語っていただきました!!

 

ー『レビュー 夏のおどり』の公演がラストステージです。今のお気持ちを教えてください。

楊さん「まだあまり実感はないですね。(インタビュー当時)南座公演の稽古中で、舞台が続いていますし、今はしっかりと務め上げ、皆さんに楽しんでいただきたいという気持ちでいっぱいです」

 


舞美さん「自分の卒業公演ではありますが、それを感じている時間はなくて、いい意味でいつもと変わらずにお稽古に集中できる環境を作っていただき本当に感謝しています。お披露目も夏でしたし、楊さんのお誕生日も夏。私も夏生まれですので、大好きな夏にみんなと一緒に踊る姿を皆さまにご覧いただけたら嬉しいという思いでいっぱいです」

 

ーお二人がトップスターとして一緒に過ごす時間の中で、お互いに尊敬しているところ、すごいなと感じているところを教えてください。


楊さん「己にストイックで、芸に対して誰よりも自分に厳しいところです。それはとても難しいことだと思うので、本当に尊敬しています。あとは、長く一緒の時間を過ごしていく中で、すごく支えてくれて、どんな時も一緒にいたという気持ちがあります。常に明るいところもすごいと思いますし、自分は口下手な方で、稽古場ではみんなと喋るというよりも一人で稽古をしている感じなので、その橋渡しをしてくれていると思っています。舞美さんが、私とみんなを結びつけてくれて、場を和やかにし、明るくなって、みんなで一緒にやっているという気持ちになれるところが、私は本当に助かっています」

 

舞美さん「楊さんは、男役さんで、3つ上の上級生です。普通なら目上の方にそんな言い方をしてはダメだろうという気持ちはあるのですが、楊さんに対しては、“私はこう踊りたいんです”とか、”先生はこうおっしゃってたと思います” とか、”ここではこういうタイミングでお願いします”など、どんなことでも遠慮なくお話をさせていただきました。言葉を選ばずに、自分の気持ちをお伝えできるのは楊さんだけで、それをものすごく寛大な気持ちで受け入れてくださって、思っていることもいろいろとあると思うのですが、私を自由に伸び伸びと舞台に立たせてくださる唯一の方だと思っております」

 

ーありがとうございます。楊さんから見た舞美さんはストイックというお話がありましたが、具体的なエピソードがあればぜひ教えてください。


楊さん「自分の理想に対してとてもストイックです。こう踊りたいという理想があって、目指すものがはっきりとしています。まずそれ自体がすごいことだと思います。そして、自分の理想に対して本当に妥協しないんです。そこが更にすごいところだと思います」

 

ー舞美さんの希望を寛大に受け止めてくださるというお話がありましたが、その希望をどう受け止めていらっしゃるのですか?


楊さん「舞美さんは自由にと言っていましたが、私は舞美さんは自由に踊っている時が一番輝くと思っています。ですので、 輝かせると言ったら偉そうですが、そういう舞美さんを引き出せるのは自分だけだという自負があって。そこも私の中のプライドのひとつではあるので、そう言ってもらえて、ありがとうって思います」

 


舞美さん「嬉しい!!ありがとうございます!!(笑顔)」

 

ー2022年にはOSKが100周年を迎えるという大きなイベントがありました。その時を迎えた時の気持ちを教えてください。

楊さん「100周年に在団していること自体が奇跡だなと思いました。タイミング含め、何かが違えばそうはならなかったので、本当に運命なんだろうなと思いました。トップスターという立場で迎えさせていただいたのもある意味運命だと思いますので、自分にできることは何なのかということを自問自答した1年で、皆さまの愛を改めて感じることが出来ましたし、皆さまに支えられて100周年をOSKが迎えた感慨深い年でした。忘れられない濃厚で素晴らしい1年だったと思います」

 


舞美さん「どれだけ愛されて、多くの方の支えがあって劇団が続いてこられたのかということを実感し、感謝の思いでいっぱいになりました。そして、自分がこれからすべきことは何だろう?と考えました。100年で終わりではなく、そこから101年102年と続いていくこれからが大事だと思っています。当時はその橋渡しをする一員になれたらという気持ちでいましたね」

 

ー今後のOSKを支えていく皆さんへの思いを教えてください。

楊さん「自分の原点を見失わず、感謝を忘れずに、身体に気をつけてOSKを繋いでいって欲しいと思います。自分の原点を見失った時点で迷って、いきなり道が見えなくなってしまうこともあると思います。なんで舞台をやりたかったのか、OSKに入ってきた理由や今どうしてここにいるのかということを常に自分の中に持ち続けることが大事です。自分の核になるものを必ず持ち、自分たちだけがOSKではなく、いろんな方々への感謝、OSKがあるのは本当にすべての皆さまのおかげだということを忘れずにいて欲しいと思います」

 

舞美さん「OSKにいたら劇団として次のお仕事や公演に出ることができます。それは与えられる側として、受け身になってしまうことですが、それを最大限に消化し、演出家、振付家の予想を遥かに超える表現をすることが私たちの仕事だと思っているので、作っていただいた方々を驚かせるぐらいの表現者になって欲しいです。そして、自分が何をしたいか、どうなりたいかということを常に、見出して欲しいです。その中でも、受け身にならず、やりたいことをどんどん増やし、停滞せずに前進していってくれたら嬉しいです」

 

ー8月の公演を楽しみにされている皆さんに楊さんが感じているOSKの1番の魅力を教えてください。

楊さん「OSKに限らず、生の舞台は生命力や舞台にかける情熱、その最大の熱が人の持つパワーとして直にお客さまに伝わるところが魅力だと思います。私たちOSKは一度解散し、紆余曲折を経て存続する経験をしているので、だからこそ夢だけではない現実味のある劇団で、そういうところに感じる人間臭さのある情熱と生命力があるパワーが魅力だと思っています」

 

ーありがとうございます!!改めて8月の公演の見どころを舞美さん目線で教えてください。

舞美さん「第一部に関しましては、個人的に楊さんとの「深川マンボ」です!! 和物でご一緒させていただく機会は少ないので、楊さんと私にしかできない「深川マンボ」だと思っていただけるようにしたいです。第二部は、“これが見たかったのよ”というお客さまも多くいらっしゃるのではと思う演目です。私と楊さんは今回の公演で卒業しますが、 これからのOSKを担っていく初舞台生も出演します。個人的なことですが、初舞台生の中に同じスクールで京都出身の人もいて、私は卒業するけれどこれからも頑張って!!という思いも込めています。思いがたくさん詰まった作品ですので、楽しみにしていてください」

 

ー最後に読者の皆さんへ公演に向けてのメッセージをお願いします。

楊さん「持てる期待を最高レベルに上げていただいて、楽しみに待っていてください。私たちはそれ以上を超えて、最高の舞台を一丸となってお届けしたいと思っています」


【profile】
楊琳/Rin Yan
8月7日生まれ。神奈川県出身。
初舞台は2007年大阪松竹座『春のおどり』。2021年4月にOSK日本歌劇団トップスターに就任。
2024年8月に新橋演舞場で上演の『レビュー 夏のおどり』でOSK日本歌劇団を卒業することが決定している。

 

舞美りら/Rira Maimi
7月28日生まれ。京都府出身。
初舞台は2010年大阪松竹座『春のおどり』。2021年4月にOSK日本歌劇団娘役トップスターに就任。
2024年8月に新橋演舞場で上演の『レビュー 夏のおどり』でOSK日本歌劇団を卒業することが決定している。

 

【公演概要】
■タイトル
『レビュー 夏のおどり』
■日程・会場
2024年8月7日(水)~8月11日(金) 新橋演舞場
■公演公式ホームページ
https://www.osk-revue.com/2024/05/02/1-138.html

(2024,08,02)

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Akiko Yamashita

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CHECK!!

下記のリンクのインスタグラムに楊琳さん&舞美りらさんのインタビュー撮影時のアザーカットを公開いたします!!

お見逃しなく!!

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