舞台『そのいのち』製作発表会見が2024年8月29日(木)に行われ、宮沢りえさんと佐藤二朗さんが登壇しました!!

本作は、佐藤さんがミュージシャンの中村佳穂さんの楽曲「そのいのち」にインスパイアされて執筆した作品です。介護ヘルパーとして働く山田里見と、彼女の雇い主で障がいを持った相馬花とその夫・和清の穏やかな日々、そしてあることをきっかけにその穏やかな関係が徐々に狂い始めていく姿を描き、「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」を浮かび上がらせます。

佐藤さんは、本作の執筆に至った経緯を聞かれると、「僕の好きな話があるんですが」と前置きして「鍼がなぜ腰痛や肩こりに効くかというと、鍼で傷をつけるからなんです。あえて傷を作ることで、それを補おうとして血の流れが良くなって、結果、肩こりや腰痛が治る。大げさを恐れずに言えば、それが生きるということなんじゃないかという思いもあって、それで今回の本を書きました」と話しました。

 

宮沢さんと佐藤さんは舞台での共演は本作が初。宮沢さんは本作への出演を決めた理由について「私は役者さんである佐藤二朗さんのお芝居がとっても好きで、映画もいつも映画館で観に行ってますし、お芝居に感動することが多くて、二朗さんのファンなんです」と笑顔で明かすと、「その二朗さんが12年ぶりに書かれた台本が届いたときに、心がワクワクしました。最初は会話のテンポが良くてユーモアもあるのですが、その中で鳥肌が立つシーンがあったんです。その鳥肌が立った瞬間に、このお芝居をやりたいと。お稽古もきっと大変だと思いますが、それを乗り越えたいと思える戯曲でした」と真摯に語りました。

 

一方、佐藤さんは「『鎌倉殿』で共演しているときに、リハーサル室で一緒になって、宮沢りえは大きな存在なので(出演してもらうのは)難しいだろうと思いながらも『もし、興味があれば』と声をかけたら、『楽しみにしています』と言ったんですよ。それで、すぐにプロデューサーに電話して、『宮沢りえがあるかもしれない!』って(笑)。なんとか口説きたかったから、酔っ払ってメールもしたんですよ(笑)。『大きな作品をやるのもいいけど、僕らがムーブメントを起こそうよ』という熱い長文メールを送って。最後には『そそられます』と遠慮がちに言ってくれました。『そそられます』というワードを聞いた瞬間、(宮沢さんは)信用できると思った」と宮沢さんとのやり取りを紹介しました。

 

里見の雇い主で、障がいを持った花を演じるのは佳山明さんと上甲にかさんによるWキャスト。佳山さんは脳性麻痺、上甲さんは筋ジストロフィーを患っています。佐藤さんは「最初は先天的な脳性麻痺がある車椅子の若い女性の花という役を健常者の女優さんにお願いしようと思っていました。もちろん(障がい者の方が出演するのは)映像でも大変だけど舞台はさらにハードルが高い。いわゆる障がいのある方に出ていただくのはハードルが高いというのは承知ですが、僕にとって負を力に変えることが生きること。自分の力ではどうしようもない負が目の前にあった時に、それを命を燃やす燃料にする。それを祈るような気持ちで信じているので、障がいのあるお二人をキャスティングして、できれば負が力になるところをこの目で見たかったんです」とキャスティングについても言及しました。

最後に宮沢さんは「私が台本を読んだときにある衝撃を受けたシーンは、劇場で初めて味わっていただきたいので、具体的な内容は言えないですが、誰にでも起こりうることでもあります。愛する人がいる人も誰かを愛したことがある人にも心に響くテーマだと思います。私たちも誠実にこのテーマに取り組んで、観に来てくださった方たちに忘れられない時間だなと思ってもらえる作品にしたいと思います」と意気込みました。

そして、佐藤さんは「車椅子のお二人とともに座組み一丸となって、1ミリでも上を目指していい芝居を皆さんに届けたいと思っています。楽しみにしていてください」と力強くコメントし、会見を締めくくりました。

【公演概要】
■タイトル
そのいのち
■日程・会場
東京公演:2024年11月9日(土)〜17日(日) 世田谷パブリックシアター
兵庫公演:2024年11月22日(金)〜24日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
宮城公演:2024年11月28日(木) 東京エレクトロンホール宮城
■脚本 佐藤二朗
■演出 堤康之
■出演
宮沢りえ 佳山明/上甲にか(Wキャスト)、鈴木楽/工藤凌士(Wキャスト) 福田学人/徐斌(Wキャスト) 今藤洋子 本間剛 佐藤二朗

(2024,09,02)

photo&text:Maki Shimada

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