トニー賞4部門ほか各賞に輝いたブロードウェイの傑作ミュージカル、Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』が2024年9月22日(日・祝)から天王洲 銀河劇場で上演されます。本作は、2014年に、ラップ部分をKREVAさんが日本語表現に替え、Def TechのMicroさんをウスナビ役に迎えて日本版を上演、そして7年後に新キャストを迎え再演された作品です。日本版上陸10周年を迎える今秋、また新たなキャストを迎え、上演されます。今回、ニーナ役を演じるsaraさんに公演への意気込みや役作りについて、さらにはファッションについてお話を聞きました!!

 

―saraさんは今回の公演から本作に参加されます。出演が決まった時のお気持ちを教えてください!!
日本でも上演されていることは知っていましたが、まさか自分がこの作品に出演できるとは思っていなかったので、お話をいただいたときはすごく嬉しかったですし、ワクワクしました。

 

―2021年に公開された映画版もご覧になっているそうですが、映画や今回の脚本を読んで、本作の魅力はどんなところにあると思いますか?
この作品は、音楽ももちろんですが、ダンスもお芝居も作品の持つメッセージ性という意味でも、とても満足度が高いミュージカルだと思います。楽曲が豊富で、ラップ、サルサ、伸びやかでメロディックなミュージカルの魅力を感じさせる楽曲もあって、とても多様です。ダンスという面では、演出をTETSUHARUさんが手がけられているので、振付も見ていて胸が躍ります。

 

―ラップやヒップホップなど、ミュージカルではあまり聞かないジャンルの楽曲があるということもこの作品の魅力のひとつだと思いますが、今、歌稽古をしていてどんなことを感じていますか?
それぞれが思っていることを歌で伝えるというのは、ミュージカルのベースになるものだと思いますが、この作品ではよりその歌や想いが熱量をもってストレートにぶつけられていて、心臓に刺さってくるようです。それは今までのミュージカルでは感じたことがない感覚です。

 

―なるほど。先ほど、ダンスについても魅力のひとつに挙げていましたが、演出と振付を担当するTETSUHARUさんのダンスの振付についてはいかがですか?
(取材当時は)まだ稽古序盤なので、数曲しか振りが付いていない状態ですが、お芝居もミザンスの力を大事にされていて、立つ位置によって伝わるメッセージが全く違うのだと気づきました。私は、文学座という、相手といかに芝居のセリフを交わすかということを大切にしている劇団に所属していて、そこを自分自身今も模索しているので、外から見てどういう画を作るのかという視点は新鮮でとても勉強になります。それはきっとTETSUHARUさんならではなのではないかなと思います。なので、芝居の面でも画の力を感じていただけるのではないかなと思います。

 

―今回演じるニーナという役柄については、今はどのように捉えていらっしゃいますか?
今、お稽古をしていて、やはり登場シーンがすごく多いので、改めてニーナがこの作品の大きなテーマを背負っているのだと感じています。序盤に『IN THE HEIGHTS』というみんなで歌うナンバーがあるのですが、そこにニーナはいません。この作品の中である意味では、異質な存在なのだと感じています。

 

―そうすると、演じる上ではそうした微妙な空気感や距離感というのが大事になってくるのでしょうか?
そうですね。帰郷したことで、みんながすごくハッピーだと感じてくれているけれども、ニーナにはみんなに言えない秘密がある。そうしたところをお客さんにも感じていただけるように演じられたらとは思います。とはいえ、ニーナは日本人ではないので、日本的な萎縮の仕方ではなく、『みんなと仲良しだしオープンなんだけど、でもオープンにできない部分がある』という日本人の自分とはまた違う体感があります。難しいですが、これからの稽古で探っていきたいと思っています。

 

―この物語では人種の違う人たちが交流する姿も描かれていますが、演じる上では人種というのも意識するところでしょうか?
私は、これまでに出演した『ドリームガールズ』や『バイオレット』でも黒人女性を演じていて、自分とは全く違うルーツを持つ女性でした。自分と違うコミュニティやルーツで育った人を演じるという責任はすごく感じていました。今作も、ラテン系のコミュニティの賛歌でもあり、ニーナ自身も自分の育ってきたコミュニティへの愛情をこの作品に乗せているので、そこはリスペクトを持って演じなければいけないと思い勉強を続けています。

 

―共演者の皆さんの印象を教えてください。
今回、他のミュージカルともまた違い、ラテン系のオープンな雰囲気の音楽なので、集まっている皆さんも本当にアットホームで素敵な方ばかりです。ピリッとした雰囲気になる現場もありますが、今回はMicroさんをはじめとして、とても暖かな空気があり、お互いをリスペクトし合っています。それぞれが言いたいことを言うと、必ず皆さんからリアクションが返ってくるので、勇気を出して頑張ったことを讃え合えるような雰囲気があります。皆さん熱くて、挑戦することができる、今まで感じたことのない空間です。この空間だったらきっといい芝居が作れるんじゃないかなと感じる読み合わせでした。

 

―今回の再演から参加したメンバーもすぐに馴染んで、稽古がスタートしたというところですね。
そうですね。不思議なくらい垣根がないです。稽古が始まる前にイベントがあったということもありますが、平間壮一さんは以前コンサートでもご一緒していて、自然と受け入れてくださるので、自分も自然と心を開くことができるんだと思います。本当にすごい方で、皆さんのことをじっと見守っていてくださるのを感じます。それはMicroさんも同じで、平間さんとはまた違うタイプですが、細かいところまで見てくださっていて。カンパニーに対しても愛情を持って接してくださっているというのがすごくよく分かります。そうした方たちが集まるこの作品は奇跡だなと感じますし、そんな暖かい人たちに出会えたことに感謝しています。

 

―松下さんとはお芝居での絡みも多いと思いますが、改めて松下さんの印象を聞かせてください。
アーティストとして活動されていらっしゃることもあって、音楽に対する感性が天才的で、素敵です!ミュージカルは言葉が大事ですが、伝えることを重視すると音色が必ずしも広がっていかないところがあります。ですが、松下さんは“音”と捉えていらっしゃるのかなとデュエットしていると感じます。なので、その言葉の中にも色が生まれるんですよ。ちょっと鼻にかかったような声を出したり、逆に深さのある声を出したり、声の音色を自在に操れる方なので、デュエットして声を重ねると、自分の実力以上の声を引き出して下さるような気がします。さまざまな色を持つ松下さんの声に乗っていくという意味で、すごく緊張感があって。ですが、もっと出してもいいんだと思わせてもらえるし、松下さんが合わせてくれることを感じ、デュエットってこんなに自由なんだと、新しい発見がありました。お互い合わせにいくというよりも、フルで出し切ってその先にいくという感覚でした。

 

―saraさんにとって、ミュージカルでお芝居することの面白さ、魅力はどんなところにありますか?
まさに最近、それを考えていました。ミュージカルの中には、その芝居のセリフと歌を繋ぐための音が存在しています。歌い出しのイントロの部分です。それはミュージカル特有のものですが、実はそのイントロの部分はキャラクターの鼓動なんだと、以前にミュージカルの先輩から教えていただいたことがあります。そう考えると、歌も自然に入っていくのかなと思いますし、そこでお客さんと繋がれる瞬間なのかなと思います。改めて、ミュージカルって面白いなと思いました。

 

―今、saraさんの目標は?
もともと、私は目標を立てて進んでいくタイプだったのですが、最近はあまり考えていなくて。やっぱり作品が教えてくれることがすごく多いので、それによって自然と導かれることが多いんです。稽古期間も含めると、3ヶ月以上、その作品にどっぷりと浸かるので、そうすると人生がその作品と共にあります。それぞれの作品には必ず訴えかけるメッセージがあって、それを全身で浴びていると自然と路線変更する感覚があって…。なので、あえて今は自分で大きな目標を持たずに、行き当たりばったりで導かれる方向に進んでいった方が想像していなかった目標に到達できるのだと考えるようになりました。ただ、ミュージカルは子どもから大人まで門戸が広いジャンルだと思うので、多くの方に気軽にご覧いただけたら嬉しいですし、そう感じていただける作品に参加したいと思っています。

 

―改めて、公演に向けての意気込みと読者にメッセージをお願いします!!
暑い夏に聴きたい音楽を集めたかのようなミュージカルなので、リラックスして楽しんでいただけると嬉しいです。手拍子をしてもいいし、じっと聴いていてもいいし、カーテンコールで立ち上がって一緒に踊ってもいい。“受け入れること”を描いた作品なので、お客さまも一緒に楽しんでいただけたらと思います。それから、“自分の居場所”を探すことがこの作品のテーマになっています。登場人物たちが勇気を持ってそれに立ち向かっていく作品でもあるので、同じような悩みを持っている方の背中をきっと押してくれると思います。たくさんの方に来ていただけたら嬉しいです。


▶︎saraさんのファッション事情◀︎
―普段はどんなファッションがお好きですか?
周りに自分で服をデザインするような、おしゃれな方がたくさんいるので、そうした方々にインスパイアされて、最近は古着を見に行くようになりました。それから、私は背が高いので、海外のメーカーのお洋服を着ることが多いです。最近は『LE CIEL BLEU』というブランドで買うことが多いですね。色味も可愛く、背丈の高い女性に合わせて服も作っているのでサイズ感もぴったりです。

 

―最近買ったお気に入りのファッションアイテムは?
今回、撮影をしていただいた水色のセットアップです。麻っぽい生地で、色合いが気に入っています。普段からよく着ているんですよ。パンツはビッグシルエットなので、ぴったりしたTシャツを合わせて着たり、古着のだるんとしたシルエットのTシャツを合わせたり、色々なコーディネートで着ています。

 

―saraさんが疲れた時の癒しやリラックス法は?
温泉が好きなので、お風呂に入ることです。それから、お笑いですね。お笑いの動画を見たら嫌なことも忘れます。関西人なので、ゴリゴリのお笑いが好きなんですよ(笑)。笑って寝るが一番です!

 

―素敵でいるためにsaraさんがしていることは?
やりたいように生きている人、無理せずに言いたいことは言える人が素敵だと思うので、私もそうしたいと思っています。自分らしく生きるというのは難しいことですが、何かを選ばなければいけないとなった時には、必ず自分に正直に生きる方をとるように意識しています。

 

―先ほど、本作には「居場所を探す」というメッセージが込められているというお話がありましたが、saraさんにとっての居場所はどこですか?
家族と地元です。兵庫出身なので、関西弁を話した時、『これが自分だ』と感じます。それから劇団です。文学座は自分が芝居をスタートした場所でもありますし、自分の成長を見てくれる人がいる場所でもあります。それは私の大きな支えになっていて、1歩踏み出そうと思えるのは、そうした劇団があるから。なので、劇団は私の居場所なんじゃないかなと思っています。

 

【profile】
sara
2000年1月13日生まれ。兵庫県出身。
早稲田大学在学中に文学座附属演劇研究所に入所し、2022年より文学座準座員となる。21 年にミュージカル『17 AGAIN』で外部公演デビューを果たし、以降数々のミュージカル作品に出演。 1月には初のソロライブも開催し、今後の活躍が期待される。近年の主な出演作に、【舞台】『オセロー』ミュージカル『VIOLET』(2024)、『カウントダウンミュージカルコンサート2023→24』『ハートランド』ミュージカル『ドリームガー ルズ』(2023)、『アーモンド』(2022)、ミュージカル『GREY』ミュージカル『17 AGAIN』(2021)など。
■文学座公式ホームページ
https://www.bungakuza.com/member/prof/sara.htm

■公式Instagram
https://www.instagram.com/bwams__1/

photo:Hirofumi Miyata/interview&text:Maki Shimada


【公演概要】
■タイトル
Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』
■日程・会場
東京公演:2024年9月22日(日・祝)~10月6日(日) 天王洲 銀河劇場
京都公演:2024年10月12日(土)~13日(日) 京都劇場
名古屋公演:2024年10月19日(土)~20日(日) Niterra 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
神奈川公演:2024年10月26日(土) 大和市文化創造拠点シリウス 1階芸術文化ホール メインホール
■原案・作詞・作曲 リン=マニュエル・ミランダ
■脚本 キアラ・アレグリア・ウデス
■演出・振付 TETSUHARU
■翻訳・訳詞 吉川徹
■歌詞 KREVA
■音楽監督 岩崎廉
■出演
Micro [Def Tech]/平間壮一(Wキャスト)、松下優也、sara、豊原江理佳、有馬爽人、エリアンナ、ダンドイ舞莉花、MARU、KAITA、戸井勝海、彩吹真央、田中利花 ほか

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CHECK!!

下記のリンクのインスタグラムにsaraさんのインタビュー撮影時のアザーカットを公開いたします!!

お見逃しなく!!

https://www.instagram.com/noriem_press/